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暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

再び車で四国遍路・・・祖谷のかずら橋へ

2022年06月20日 | 再び車で四国遍路

      (憧れの「祖谷のかずら橋」をこわごわ渡りました・・)

 

9日目(6月8日)仙遊寺を後にして、秘境ゆえに今まで行けなかった徳島県の「祖谷(いや)のかずら橋」を目指しました。

今治市から松山自動車道へ、さらに高知自動車道を走り、大豊インターで下りるとすぐ「日本一の大杉」と書かれた看板が目に留まりました。巨樹好きとしては見逃すわけにいかず「日本一の大杉」に寄り道です。

「杉の大杉」と呼ばれ、樹齢三千年の巨木は「南杉」と「北杉」と呼ばれる二株の大杉からなっていて、二株が根元で合着していることから、別名「夫婦杉」とも呼ばれています。

 

  (推定樹齢3千年の「杉の大杉」・・・高知県大豊町)

「日本一の大杉」と謳うだけあって、幹の太さと言い、大空にすっくと聳える高さと言い、見事な大杉でしたが、腐食を防ぐ修復部分もあり、三千年という歳月を感じます。

保護柵があって巨樹に触れることはできませんが、大杉が発する気でしょうか、辺りの空気を洗い清めるような清浄感が漂っています。

気を浴びてゆっくり過ごしたかったのですが、大杉前のベンチに一人の青年が静かに瞑想にふけっていたので遠慮し、「夫婦杉」を静かに一周し、八坂神社にお参りしてお別れしました。

 

      (遊覧船から楽しんだ大歩危渓谷)

大昔、息子たちと乗った大歩危(おおぼけ)の遊覧船へ乗ってみたくなり、またまた寄り道です。曖昧な記憶ではもう少し急流だった気がするのですが、ゆるやかな流れの中、大歩危の岩石群や緑の彩りを楽しみました。遊覧船で鎌倉からいらしたというご夫妻に出会い、いろいろ情報交換したのも旅のご縁でしょうか。

大歩危渓谷の急峻な流れを眼下に見下ろす岩の上に陣取り、道の駅で購入したサンドイッチと牛乳でランチです。昼食は町中の食堂より、景色の良い草原や渓谷の岩の上などで食べるのが一番お遍路さんに合うように思うし、美味しさも格別な気がします。何事もお大師様のお導きと感謝しながら・・・。

  (大歩危渓谷の岩の上でランチです)

  (平家由来の赤旗がある「平家屋敷」(徳島県三好市西祖谷山村))

 

途中「平家屋敷」(歴史民俗資料館)に寄ったりしながら14時頃に「祖谷のかずら橋」に到着です。

長さ45m、幅2m、重さ6tの吊り橋はカズラで作られ、祖谷川水面からの高さは14mもあります。

その昔、この近くに住みついた平家の落人が追手から逃れるために、いつでも橋を切り落とせるようにカズラで編んだそうです。今は観光名所で通行料550円を払って渡ることが出来ます。

こわごわ渡りましたが、「祖谷の粉ひき唄」にあるようにゆらゆらと大きく揺れました。

  祖谷のかずらばしや くものゆのごとく

   風も吹かんのに ゆらゆらと・・・・  

内心、揺れで気持ちが悪くなったら・・・と心配しながら。

カズラで編まれている所には補強材があるのですが、あとは眼下の祖谷川の流れが目に飛び込んできて、超スリル満点の吊り橋でした。自称・高所恐怖症のツレが無事に渡れるだろうか?・・・と心配していたら、私より怖がらずに上手に渡っていたのにはびっくり! この恐ろしくも貴重な体験はきっといつまでも記憶に残ることでしょう。

   (皆、途中で止まってしまったり、恐る恐る渡っています・・・)

16時頃にその日の宿である「祖谷渓温泉・ホテル秘境の湯」に無事に到着。

久しぶりにあめごや大揚げの郷土料理や、朴葉焼の牛ステーキが並ぶ豪華な夕食を楽しみ、朝晩と祖谷渓温泉に癒されました。感謝です。  (つづく)

     

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再び車で四国遍路へ・・・仙遊寺宿坊に泊まる

2022年06月19日 | 再び車で四国遍路

 (仙遊寺宿坊(今治市玉川町別所)からの朝の眺望・・・遠く「しまなみ海道」の橋が見えます)

 

今回の四国遍路ではなるべく宿坊に泊まって、朝または夜のお勤めに参加したいと思いました。

・・・が、1日目に安楽寺宿坊に泊まった後はなかなか思うようにいきません。

コロナウイルスの影響でお遍路さんが少なくなったこともあり、宿坊をやめてしまったり、休んでいる札所が増えたようです。それで11泊中3泊だけが宿坊でした。6番安楽寺(1日目)、58番仙遊寺(8日目)、75番善通寺(10日目)ですが、いずれも泊まって大正解でした。

 

   (作礼山仙遊寺の山門・・・ここから寺までひと登りあります)

    (仙遊寺山門前の石仏たち・・・静寂そのものです)

58番仙遊寺。お勧めの温泉があり、寺への遍路道が険しくも味わい深く、山上の寺からの景色が刻々と変化して息を呑むように美しい札所です。

泊まるのは2回目ですが、コンビニで夕食と朝食用の食べ物を購入し素泊まり(4千円)でお願いしました。広い宿坊は前回(十数年前)の賑わいとは異なり、私たち以外には男性一人だけの宿泊でした。

約束の17時に到着すると、「お風呂の用意が出来ていますので、どうぞお入りください」

ヌルヌルした温泉の肌触りが心地よく、ゆっくり浸かっていると、疲れがうそのようにとれていきます。

食堂でコンビニ弁当を食べながら、埼玉県から車で四国遍路へ来たという男性と1時間ほど交流したのも良い思い出になりました。

   (仙遊寺の本堂・・・早朝から団体さんがお詣りしています)

 (本堂の千手観音さま、竜宮の童女が届けたという伝説があります)

 

翌朝6時からお勤めがあり、5時過ぎに目を覚ますとホトトギスの鳴声(しのび音?)が聞こえてきました。

本堂の入り口でご住職が出迎えてくださいました。

「ご住職さまですか? このたびはお世話になっております。暁庵でございます」とご挨拶をしたら、「このような挨拶をされたのは初めてです」と言われ、十数年前に宿泊したこと、たしか奥様が朝のお勤めをされたことををお話しすると、「・・・そうでしたか。実は家内は8年前に旅立ちました・・・」

しばし、奥様のことを話され、いろいろな思いを胸に奥様の骨を身に着けて四国遍路へ出たそうです。

「色即是空 空即是色・・・」般若心経を皆で唱えながら、すべては変わりゆくのだ・・・という真理。変わってゆくものが即ち現実(物質的存在)なのだ・・・。それを受け入れて、なお生きていく心のありようをご住職は身をもって素直に語ってくださいました。

これこそとても有難い法話だと思い、仙遊寺宿坊に泊まった甲斐がありました。

 

   (右の引出黒茶碗が素晴らしい出来で、ご住職も嬉しそう・・・)

ご住職は最近登り窯を造り陶芸を始めたそうで、お茶をしていると言ったら最新の作品を見せて頂き、これも好き思い出です。

 

     (仙遊寺の大師堂、心願成就をお願いしました)

17時到着でお詣りできなかったので、翌朝ゆっくり大師堂をお詣りしました。

これからは観光モードに変わり、愛媛県今治市から徳島県へ車を走らせ、「大歩危小歩危(おおぼけこぼけ)」「祖谷(いや)のかずら橋」を目指しました。(つづく)

 

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再び車で四国遍路へ・・・安楽寺宿坊に泊まる

2022年06月17日 | 再び車で四国遍路

   樹齢1200年の「大くす」で有名な志々島の「孝子さんの花畑」の紫陽花) 

      (志々島は香川県三豊市詫間町志々島)

 

令和4年(2022年)5月31日から6月11日(土)まで12日間、再び車で四国遍路へ出掛けました。

3年ぶり、4回目の四国遍路ですが、苦しみ、悲しみ、妬み、恨み、虚栄心など・・・どす黒い垢が心身に溜まって来ると、四国遍路へむしょうに出かけたくなります。

四国遍路は人によってその目的は様々ですが、一般的には先祖供養と家内安全を祈願して札所を回る旅です。

人によっては自分探しの旅であったり、亡き人の供養であったり、親しい人を亡くした喪失感を埋めるためであったり、その悲しみから立ち直るための区切りの旅であったり・・・。

四国の札所を汗みどろになりながらひたすら供養や浄化を願って回っていると、四国の自然の癒しや人との触れ合いも加わってとても爽快無垢な気分になり、心身が調えられていくのを感じます。

 

  (祈りと紫陽花の遍路道・・・・青龍寺(高知県土佐市宇佐町)にて)

 

今回が車で行く最後のチャンスと思うので、札所を回る祈りの遍路だけでなく半分は観光にしました。いつも遍路優先なので、行きたかった場所を訪れよう、心残りの無いようにしたい・・・と思ったのです。

 

5月31日(火)朝6時に横浜の我が家を出発。東名、新東名、伊勢湾岸道路、新名神、淡路島道路を走り抜け、15時には第1番札所霊山寺(りょうぜんじ)へ到着しました。

無理をせず休憩を多く取ったので9時間かかりましたが、高速道路はとても快適でした。暁庵も2時間くらい途中で運転を交代しましたが、私が運転するとツレはかえって疲れるみたい・・・です。

1番札所霊山寺で足りない遍路グッズを購入し、お遍路さん定番の白衣、白ズボン、輪袈裟、15年前に買った古い菅傘、それと階段や坂道で大活躍する金剛杖を手にすると、「さあ、これから元気に四国一周するぞ」と気合が入ります。

本堂と大師堂で般若心経を唱えてお詣りしました。この日は2番札所・極楽寺と3番札所金泉寺を回ってから、宿をお願いした6番札所安楽寺へ17時頃に到着しました。

 

(温泉山安楽寺・・・温泉があり、心身の疲れが癒されます)

   (茅葺大屋根の安楽寺本堂)

安楽寺は十数年前の歩き遍路の思い出があるお寺です。献茶のお茶を飲んでいただいた副住職(当時)にお目にかかりたかったのですが、お会いできませんでした。

当時とはいろいろ違っていて、薬師如来が祀られている本堂奥に性霊殿というお堂が出来ていて、そこでとてもユニークな体験をしました。

それは宿坊に泊まるお遍路だけが参加できる夜のお勤めで、「くす供養」という他言無用の祈りの行が行われていました。「くす供養」って何かしら? 初めて聞く言葉でしたが、くすは「楠」のことでした。他言無用なのでこれ以上は書けませんが、機会があったらぜひ宿坊に泊まって参籠してくださいまし。

 

   (安楽寺にそびえる大きな楠)

 

「くす供養」に参籠し、それまで漠然としていた四国遍路の目的がはっきり見えて来たのでした。

これから進むべき茶の道のお導きを弘法大師さまへひたすら祈りながら札所を回わりました。(つづく)

 

        再び車で四国遍路へ・・・次につづく

 


我が心の師・・・占いのY先生

2022年06月04日 | お茶と私

     (無心に進みたい「万里一條鉄」

     (ドクダミ(十薬)が咲き乱れる季節になりました)

 

GW中の5月4日の夕方、人生の師ともいえる占い師のY先生にお会いしました。占いは四柱推命です。

20年前に偶然Y先生に出会い、占ってもらいました。以来、人生の節目や悩み事がある度に私の話に耳を傾けて占ってくださり、それはそれは見事なアドバイスをしてくださるのです。占い師というより人生の大先輩からの良きアドバイスを伺うようで、本当に有難かったです。

 

この日は社中T氏の飯後の茶事に招かれて、S先生のお稽古以外では本当に久しぶりに東京へ出かけました。

お茶事があり、興奮していたのでしょうか?

もう5,6年お会いしていないY先生のことを急に思い出し、お電話してみました。

Y先生は90歳近いので、もしかしたら老人ホームへ入られたかもしれない・・・と思いながら。

すると、まもなく受話器の向こうで元気な声が聞こえ、安堵しました。

先生は私のことをよく覚えていてくださって、夕方にお茶でも飲みながらお会いしたい・・・と言ってくださったのです。

それで、茶事が終了した後に某ホテルのラウンジでお会いしました。

姪御さん(と言っても80才くらいかしら?)が連れ添って、手押し車を押しながら会いに来てくださいました。

何か・・・うるうるとしたものを感じながら、コロナ禍をお互い無事に過ごし、思いがけず再会できた喜びがあふれてきます。

 

 

「この人はねえ・・・京都から帰って茶道教室を開いてすぐに、お弟子さんが少ないのでどうしたら増えるのか相談に来たんですよ」と姪御さんに話しています。

あの時、先生は「占いはまじないではないので、占いでお弟子さんは増えませんよ。

でも、貴女はお茶に向いているし、お茶を教えることも大丈夫です。とにかく、今いる方にしっかりと向き合って、誠実に丁寧にお茶を教えてあげてください。自分の信ずるお茶の道をしっかり迷わず進んでください。そうすれば、人もお弟子さんもついてきてくれますから・・・」

と言ってくださって、そのエールが有難く心に沁みました。

先生のアドバイスのお陰で、それからは迷ったり悩んだりせずに今まで歩んで来れました。

素晴らしいアドバイスを本当にありがとうございます!

 

   (ベランダのプランターでウツボ草(夏枯草)が満開です)

 

そんな話を含めて、あれこれ20年間の昔ばなしに花が咲きました。

京都へ行くことをお勧めしましたが、内心行くとは思っていなかったのよ。それが本当に行ってしまって・・・」

「とにかく自分を信じてお茶を教えることをしっかり続けなさい。続けることが大きな宝物になりますから・・・」

Y先生は今でも自分の塾で四柱推命を学びたい方に教えていらっしゃるとか、その変わらぬ姿勢に大いに励まされました。

 

そして、「今日がお会いできる最後の日かもしれませんね・・・」とお互いに笑顔でお別れしました。 

最後に私のこれからのお茶について謎のような宿題(最後のアドバイス?)を頂きました。

それが何を意味するのか、少し時間を掛けて考えてみよう・・・と今は思っています。

 

追伸) Y先生に背中を押されて3年間京都暮らしをツレと楽しみました。

    その時の「京都へ家うつりします」のブログを読み返してみました。

    当時のエネルギッシュな自分が羨ましかったり、京都暮らしが懐かしく思い出されます。

    よろしかったらこちらをお読みください。