奈良・室生寺の紅葉 (2019年11月18日撮影)
後座の床に紐飾りされた茶壷が置かれました
つづき)
M氏に棚の濃茶点前で4人分の濃茶を練っていただきました。
寿棚や桶川の水指を運び出し、茶入と棗を莊り付けると、お客さま4人が六畳に入りました。
正客KTさん、次客N氏、三客SYさん、詰Uさんです。
縁高に入れた主菓子(猪子餅)が運び出され、
「お菓子をどうぞお召し上がりください」
静かに襖が開けられ、袴姿も清々しく、M氏がゆっくり穏やかな歩調で茶碗を運び出し、濃茶点前が始まりました。
建水が運ばれ、内隅ねらいで座り、柄杓を蓋置に引いて総礼。
炉の濃茶点前の始まりですが、客一同も見学者もM氏の動きや所作に呼応するように緊張気味に見守ります。
紫色の袱紗が捌かれ、茶入や茶杓が清められていきます。
茶碗に湯を入れると中蓋がされ、ここでも炉での濃茶点前が実感されます。
炉の初点前と思えないほどリズムの好い点前は心地好く、茶入から緑の抹茶が回しだされ、再び釜蓋が開けられ、湯が茶碗に注がれると、早や茶香が薫り立ちました。
しっかりと練られたようでしたが、「お服加減はいかがでしょうか?」
「大変美味しゅうございます」と正客KTさん。この声できっと安堵されたことでしょう。中仕舞いをして濃茶点前が続きます・・・。
濃茶の点前座
濃茶は松花の昔、小山園詰です。
茶碗は魚屋(ととや)、韓国・山清窯のミン・ヨンギ作です。M氏の古帛紗が添えられたのですが・・・?。
茶入は織部肩衝、佐々木八十吉造、仕覆は十二段花兎金襴です。
茶杓は銘「紅葉狩」、雲林院の寛道師の作です。
この茶入と茶杓は、愛媛県宇和島市に住むお茶の先輩Kさまから頂戴したもので、有難く使わせて頂いてます。
竹尺八に花水木の照葉と白玉椿をいけました
台天目と濃茶点前の次は薄茶です。
員茶之式風に十種香札を引いて、札元が読み上げた札の人が名乗ってから干菓子を頂き、薄茶を喫み、点前をします。
ゆっくり干菓子と薄茶を味わってもらいたいので、薄茶の亭主KTさんに茶碗2個を持ち出して2服続けて点ててもらい、お点前さんを一人ずらしました。
前日の薄茶のお稽古の時に・・・
3月に入門したSYさんは炉での点前は今回が初めてでした。それで、員茶之式に備えて前日に薄茶点前をお稽古しました。
全員が点前するので、最後の仕舞い付けが誰に当たるのだろう?・・・皆の関心事です。暁庵は内心SYさんに当たると良いのだけれど・・・と。
お茶の神様がお選びになったのは、台天目で奮闘してくださったN氏でした。
今年はN氏がトリを務めて、これにて無事に炉開きと口切の会が終了しました。
緊張感あり、笑いあり、学びあり、反省あり、思いやりの優しさあり、・・・
「和敬清寂」や利休七則をどこかに感じつつ、社中の皆様と炉の時期の好いスタートが切れました。
昨日(22日)から冷たい雨が降っており、小春日和だった炉開き&口切の日を愉しく思い出しながら記しました・・・。
2019年「炉開き&口切の会」・・・(2)へ戻る (1)へ戻る
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