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暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

「nature’s rhythm」(自然の営み)の茶事へ・・(2)

2025年04月02日 | 茶事・茶会(2015年~他会記録)

 

つづき)

後入りすると、床にピンクの桜と黄色の土佐ミズキが生けられ、茶室は春の装いです。

点前座には古備前水指と茶入が置かれ、釣釜から湯気が出ていて、濃茶が待ち遠しく思いました。

   (後入りで点前座を拝見中です)

     (欠けが魅力的な古備前水指と茶入)

久しぶりにRさまの濃茶点前、茶碗と建水が運ばれました。

袱紗が四方に捌かれ、茶入と茶杓が清められていきます。二十数年の研鑽がしのばれる端整な所作をしみじみと拝見できて、嬉しかったです。特に濃茶を練る時の茶筅の動きに見惚れていました・・・。

よく練られたみどりの濃茶(「金輪」丸久小山園詰)をM氏と二人で頂戴しました。

程よい濃さ、苦みと甘味のバランスが絶妙です。赤楽のような茶碗は千葉の作家さんの作だそうですが、お名前が・・・。

拝見に出された肩衝茶入(古瀬戸、仕覆:伊予すだれ)はかっちりと切れの良いお姿で気に入りましたが、茶杓のお話が今なお心に残っています。

白木に少しだけ茶色い景色が入った素朴な印象の茶杓は、Rさまの故郷・ネブラスカにあるポプラの木をイメージして決めたそうです。背の高い日本のポプラと違い、そのポプラは横に大きく枝を張りだしていて、木の下で過ごした少女時代の話をしてくださいました。

ポプラの木陰で夏の暑さを凌ぎ、本を読んだり、ハート形の葉たちが奏でるサウンドに心癒されたそうです。

・・・想像の中で、Rさまと一緒に大きなポプラの木の下に寝転んで、大地を渡ってくる風の香り、ハートの葉たちが奏でるサウンドに耳を傾けてみたい! ・・・と。

      Go forth

             under the open sky

           and list

               to Nature’s

                   teachings

(日本語訳は、・・・そういう時は 広い空の下に出かけて 耳を自然の教えに傾けよ

素朴な印象の茶杓銘が未だに思い出せず、勝手ながら「nature’s rhythm」と名付けました。

      主菓子は練切で銘「野遊び(?)」

       (Rさま手作りの干菓子)

もう一人の弟子J氏もアメリカ人、来日してお茶を習い出して2年半ですが、お茶が大好きみたいです。

着物姿で難しい老松茶器の扱いなど、しっかりと丁寧な所作で薄茶を点ててくださいました。

J氏に点てて頂いた薄茶を暑い日だったので2服も頂戴し、Rさま手作りの美味しい干菓子(バター風味の花・葉・蝶の型物)と共に大満足です。

〇△▢の絵唐津の主茶碗、四君子の茶碗たち、ご亭主お好みの老松茶器、銘「果報者」の茶杓など・・・薄茶にもお道具にもご亭主様の想いがあふれていました。

不肖な正客にご亭主の想いがしっかり受け止められたかどうか・・・分かりませんが、渾身のおもてなしに感謝申し上げます。

相客の皆様もいろいろと刺激を受け、Rさまのお心こもったおもてなしに感じ入ったことでしょう。

これからも茶事で仲良くお付き合いいただきながら、お互いに切磋琢磨できると嬉しいです。

ありがとうございました!   

 

 (夕暮れとともに、プラット川の浅瀬に集まってくるカナダヅル。

  「Rowe Sanctuary」で撮影  Photo © Mirei Sato提供)

 

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