暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

文月のお香の会

2011年07月09日 | 茶会・香席
                         ( 半夏生 )
文月のお香の会へお招きの手紙を頂きました。
手紙はIさまからで、水茎麗しい字で次のように書かれていました。

  ・・・五種の伽羅香木の香りの中から
     同じ香りをさがしあてる香席をお楽しみ頂きたく
     ご案内申し上げます・・・

Iさまのお香の会は三回目ですが、
優雅にして、研ぎ澄まされた嗅覚や柔軟な感性が求められるひと時です。
お香のことをわからないなりに、そんなひと時を味わいたくて、
ご無理をお願いしました。

素敵なドレス姿のIさまが笑顔で出迎えてくれました。
ご自分で作られたという黒のロングドレスは、
エレガントで動きやすそうで、胸の紋がアクセントになっています。
「古い喪服がたくさんあったので、自分で継ぎはぎしてアレンジしました」
古い着物や喪服をリフォームするという選択肢が拡がりました。

                
                        ( 蜘蛛の巣の露 )
客は私を含め茶友の五名です。
香席が初めての方もいらっしゃるので、早速Iさまのレクチャーから始まりました。
七つの香を聞く「五月雨香」というのもあるそうですが、
前回と同じ五つの香を聞く「初風香」です。

香席の床には「歩々是道場」。
Iさまは凛とした気迫を感じる所作で、香炉へ火を入れ、灰を整え始めました。
(この時のIさまの所作と気力が大好きなのです)
ハンカチで汗を押えながら、五十筋の見事な灰型の香炉が二つ出来上がりました。
いよいよ香を焚き、順にまわします。

初風をうたった和歌から名づけられた三種の香を聞きました。
  一、心 (伽羅)   
  二、扇 (羅国) 
  三、露 (佐曾羅) 

腹式呼吸で呼吸を整え、ゆっくりと深く、数回聞きました。
「お茶では三回と決められていますが、何度でもかまいません。
 聞くたびに香りが違うこともありますので、
 そのたびに感じたことを細かくメモしておかれると良いですよ」

ところが、香りの表現がとても難しかったです。
「心(伽羅)は、上品、かすかに樟脳の香り、松脂、鼻にひっかかる感じあり・・。
 えーと扇(羅国)は、心とは違うけれど、どう表現したらよいか?」

                    
                       (我が家の香炉です)
三種の香を聞いてから、
まだ聞いていない香(ウ)と三種の香から一種(A)を選び、
(ウ)と打ち混ぜてわからにようにしてから、本香(ウ、A)を聞きます。
硯をまわして、和紙に名前と答を筆で書き、香盆に載せて廻しました。

残念ながら正解者はいませんでした。
本香の最初の香を全員が(ウ)としたのですが、「心」(伽羅)だったそうです。
(ウ)は真奈盤でした。
貴重な香席を体験をさせて頂き、みんな大満足でした。

「お香がやみつきになりそう・・・」という声も。

                                                  


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