暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

能「東北」の公演

2012年08月21日 | 歌舞伎・能など
「東北」の公演は、8/19を逃すと、しばらくないかもしれません。
ぜひ楽しんでらしてください(^0^)/

お能好きのRさんのメールに後押しされて、京都観世会館へ行き、
念願の「東北」を見てきました

12時30分の開場に間に合うように自転車を走らせました。
家から10分ほどでしょうか。
東京の観世会館で並んで待った記憶があったので、
内心あせってかけつけたのですが、お席はがらがらでした。
橋掛かりが良く見える、正面右の通路側の席を陣取りました。

              
                 京都観世会館の能舞台
「観世青年研究能」のパンフによると
京都府次世代等古典芸能普及促進公演と書いてあります。
次世代という文字にワクワクと心躍ったのは私だけでしょうか。
これから能を観て楽しむ者として、一緒に育てていただきたいです。

演目は、京都に因む能「賀茂」と「東北」、
そして、狂言「柑子」と仕舞「敦盛」・「玉蔓」・「項羽」でした。

「賀茂」は、賀茂神社の縁起にまつわる能で、
三神の話が身近で興味深く、登場人物が多くて物語に変化があり、
楽しめました。もちろん、うつらうつらしながらですが・・・。

              
                  下鴨神社の糺の森

さて、いよいよ能「東北」です。
舞台は東北院、いにしえは一条天皇中宮・上東門院藤原彰子の住まいで、
その院内の小堂に、彰子に仕える和泉式部が住んでいました。
東北院の庭先には梅があり、折から白い花をいっぱいつけ、
えもいわれぬ芳香を放っています。
この梅は、好文木または鴬宿梅とも言われ、軒端の梅と呼ばれています。
軒端の梅は、そこに住んでいた和泉式部が植え置いた梅でした。
もちろん、舞台に梅はありませんが、
東北院の梅を心の中で再現しながら愉しみました。

             
              東北院に咲く「軒端の梅」

春の宵、僧の夢の中に式部とも梅の精ともわからない女が現れて、
和歌の徳、東北院の有様を語り、薫り高く舞います。
シテは河村浩太郎氏、「能を楽しむ夕べ」で最後の見どころを
舞ってくださった方でした。
和泉式部の心の綾を語るような、すがれた笛の音色が今でも
どこかで響いています。

お能の持つ緊張感を満喫できる素晴らしい舞台でした。
こんなにも感動を与えてくれる「観世青年研究能」へ
観客がワンサカと押しかければ好いのに・・・と思ったりしました。

1年ぶりに見たお能ですが、「京スマを機にお能へ通ってみよう」
と思い始めています。
自転車で10分足らずという地の利に感謝して・・・。  


             
                 橋掛かりの袖にある揚幕            

(忘備録)
観世青年能(二十四の一)  平成24年8月19日(日)
              於 京都観世会館

  能  「賀茂」 
     ワキ(室明神の神職) 小林努
     ワキツレ(従者) 久馬治彦、岡 充
     前シテ(里女) 大江広祐
     前ツレ(里女) 河村和晃
     アイ(末社の神) 松本薫
     後ツレ(賀茂御祖神) 大江泰正
     後シテ(賀茂別雷神) 大江広祐

     大鼓 石井保彦  小鼓 林 大輝  
     太鼓 前川光範  笛  杉 信太朗

  
  能 「東北」 
     ワキ(旅僧) 原 大
     ワキツレ(従僧) 岡 充、小林努
     アイ(東北院門前ノ者) 丸石やすし    
    前シテ(都の女) 河村浩太郎
     後シテ(和泉式部) 河村浩太郎
    
     大鼓 谷口正壽  小鼓 林 大和 
     笛  左〇(ママ)泰弘

     地謡に林宗一郎氏のお姿がありました。