暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

葉月の茶会 その1

2012年08月27日 | 献茶式&茶会  京都編
お習いしているS先生に嬉しい慶事がありました。
8月25日、ご自宅で茶会をしてくださり、お招きを受けました。

連日の猛暑の中、着物でお伺いするには気合いが必要でした。
気合いを入れるためにも美容院で髪を結いあげてもらい、
無地の紋付を着ました。
淡いパープルの絽で、一昨年の夏期講習会以来、箪笥で眠っていました。
帯は紗の袋帯、流水に萩と楓の刺繍があり、地に淡いピンクと薄緑が交叉して、
何にでも合わせやすい帯です。
帯締めは茶友から譲られた白の道明寺、気持よく締まります。

               

さて、夏の正装で、気持ちだけは引き締めて先生宅へ伺うと、
お庭の美しい青苔が露をしっとり含んで出迎えてくれました。

待合には優美な炭道具や箱書きがいっぱい荘られていて、
そちらへ眼を奪われ、肝心の掛物を見過ごしました。
達磨篭に調えられた炭道具は遠州お好みを取り入れたとのこと、
帰りに手に取ってじっくり見せて頂きました。
中でもトキの羽根一双が・・・なぜか脳裏を離れません。

              

本席は、いつもお稽古をして頂いている八畳と六畳の間です。
床に立派なお軸が・・・。

寛永の三筆の一人、近衛信尹筆で
   雖残多 直透万重関
   不駐青霄裏


「残り多しと雖も、じきにとおるばんちょうかん
 とどまらずせいしょうり」と読むのでしょうか?

「残り多しといえども まっすぐに幾重にも重なる関を通り、
 やっと青空の下(悟りの境地)へ辿りついたが、
 そこに留まらず、今後とも精進をしていかなくてはならない」

・・・という意味だそうで、先生の充実した今のお心と、
さらなる精進を誓うお姿を表わしている禅語でした。
修業時代の万重関のお話も少し伺えて、その道程の厳しさと
茶道への並々ならぬ意志の強さに触れることができました・・・。

               

床柱には、白い槿と縞葦がすっきりと生けられていました。
花入は初代大樋長左衛門造、大内筒(青磁)写だそうです。

八年前の茶室披きの時にも同じ白槿と縞葦だったとか、
「八年間この稽古場で私を支えてくださった皆様のお陰で、
 今日の私があります。有難く御礼申し上げます・・・」
というご挨拶に感無量の方もいらしたことでしょう。

私もご縁があって5月から先生にお習いしていますが、
このような慶事の茶会へ参席させて頂けて、もう嬉しくって!
・・・なのでした。(つづく)

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       写真1は丹生神社のクスノキ
       写真2と3は芙蓉、写真4は槿・・・季節の花300提供