暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

クールスポット 堂本印象美術館

2012年08月01日 | 京暮らし 日常編
連日の猛暑で、「節電を・・・」の声掛けから
「熱中症に気を付けて、無理せず冷房をつけましょう・・・」
へ変わってまいりました。

家庭の節電を支援する取り組みの中で、
みたらし祭りへご一緒したTYさんから耳よりの情報です。

「京都市右京区にある堂本印象美術館へ行ってみたら?
 クールスポット推進事業の実施館として
 7月3日から9月7日まで入場無料、 しかもめったに拝観できない
 法然院の襖絵20枚を特別公開中なのでお勧めです」

京都府立堂本印象美術館(京都市北区平野上柳町26-3)では
2012年6月3日-9月23日まで
「こころをあらわす 線・色・形」(-法然院襖絵を特別公開-)
が開催されていて、ミュージアム・コンサート、講演会、ギャラリーツアーなど
多彩なイベントが行われています。

                  
                  

早速、講演会のある7月29日に出かけて行きました。
市バスで到着すると、すぐに別館の和室で講演会が始まりました。
演題は「抽象を超えて-印象最晩年の行く方-」、
演者は神戸市立小磯記念美術館館長の島田康寛氏です。

堂本印象については、茶会で印象画の菓子器にお目にかかったくらいで、
日本画の大家という知識しかありませんでした。

島田氏はパワーポイントを使って初期の柔かな具象の作品群、
欧州旅行で抽象画に刺激を受け、抽象画へ傾倒していく過程、
やがて西洋的な「抽象」に独自の装飾や抒情を加わえていく過程、
寺院の襖絵を多く手がけ、竹林寺襖絵「風神」・「雷神」など、
最晩年には日本的な美意識と調和した新たな世界を目指していたようで、
法然院襖絵「清風自来」などに見ることができます
・・・と解説してくださいました。

                  

それにしても、一人の画家の創造と破壊のはざまにある葛藤を
島田氏の講演と、その後の作品群の鑑賞で初めて知ることが出来ました。
同じ画家の手とは思えない作品も多く、
全てを捨て去って新たな境地を創り出していく、
堂本印象の力強い足跡をたどることが出来て、見ごたえがありました。

「堂本印象が細部まで自らデザインし、こだわったという美術館もステキなの・・・」
とTYさんが言っていた通り、印象の宝石箱のような美術館でした。

                  
                  

クールスポットでゆったりくつろぐためには
3階サロンのソファで、堂本印象に関するビデオを見るのもお忘れなく。
法然院襖絵の前でソファに腰掛け、しばし清風を聴くのもお勧めです。