暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

能を楽しむ夕べ 「東北」 その1

2012年08月14日 | 歌舞伎・能など
8月11日(土)に修学院きらら山荘で開催された
「能を楽しむ夕べ」へ出掛けました。

能の魅力や見どころを解説し、能の楽しさを広く伝えたいと、
観世流・林宗一郎氏が毎月一回、山荘内の能舞台・豊響殿で
意欲的に取り組んでいます。

             

その日が第一回目で、演目の解説は「東北(とうぼく)」でした。
作者は世阿弥(または金春禅竹とも)、季節は春、所は都の東北院です。
テーマは、和泉式部が現れ、梅を愛で、和歌の徳を讃え、
歌舞をなすという演目です(あらすじはその2で記します)。

忘れもしません・・・今年3月に東国から京都へ引っ越してきて、
最初に探し歩いたのが、能「東北」に出てくる東北院というお寺でした。
真如堂近くにある東北院を訪ね、
ひっそり咲いている「軒端の梅」に出会ったときの喜びを・・・。
でも、肝心のお能の方はまだ見る機会がなかったのです。

            
               東北院と軒端の梅(2012年3月) 

今回の講座では能装束の着付けを拝見しました。
白装束(下着)から始まり、高貴な女性の正装である大口(おおぐち、袴)に
長絹(ちょうけん、上着)までの着付けや、かづらを付け、
髪を左右に分けて結いあげ、元結でしばるなど、初めて見る舞台裏の光景です。

            
                緋の大口(おおぐち、袴)の着付け
            
                長絹(ちょうけん、上着)を着たところ

興味深かったのは、着物でいえば長襦袢を着て、胴締で締めるとき、
「おしまり?}と介添え役から声が掛かります。
締まり具合を判断して、良ければ「はい」と応えます。
胴締に限らず、かづらの紐を締める時にも「おしまり?」「はい」

締まり具合がきついと、失神したり気持ちが悪くなるなど、
大変な事態になることもあるとか。
能は、江戸幕府の式楽となり、武家で盛んに行われたので、
責任の所在をはっきりさせる必要があったそうです。
「おしまり?」と聞いてみたい政治家の顔がつい、ちらちら。

大口(袴)は緋色、長絹(ちょうけん)は紫地に業平菱と丸紋に梅の模様です。
能装束は役者の好みで選ぶことができるそうです。
最後に面をかけました。
能面はご神体のようなものなので、面に対して一礼してかけます。

面は、林家に伝わる若女(わかおんな)でした。

            
                    「若女」の面


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