暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

仙遊之式

2010年03月25日 | 七事式&いちねん会
三月の花月の稽古は仙遊之式でした。
床の軸は大亀和尚筆の「春色無高下」。

月を引き半東(花が亭主)でした。
亭主のIさんと迎え付けの挨拶をし、亭主はそのまま座に入り、
私は花台を運び出し、半東の座へ入りました。
花は廻り花です。

正客はピンクの馬酔木、次客は雪柳と朴半、
三客は土佐水木と羽衣、亭主は薄紅色の木瓜、
枝振りの好い木瓜が萩焼の花入にぴったりでしたので
あげるのをためらいながら、最後に貝母を生けました。

どれも華やかで、はっとするほど花の個性が引き立ちますが、
それも一瞬のことです。
仙遊之式はよく追善の茶会で行われ、花はたむけの花と
言われるのが頷けます。
ふと小町の歌を思いました。

    色見えでうつろふものは世の中の
        人の心の花にぞありける  小野小町(古今集)

花台を引き、炭斗、灰器を運び出しました。
仙遊では本炭所望なので、湿し灰を撒き、中掃き、
灰器を繰り上げてから茶道口へ下がりました。

三客が炭をついで席へ戻ると、
半東は釜を引き戻し、水次を持ち出して釜を清めます。
真形釜の和歌浦地紋が鮮やかに浮き上がりました。
炭手前で一番好きな瞬間で、半東冥利でした。
清める時に肩ではなく甑口からしっかり拭くようにご指導がありました。

次はお香です。
仙遊では次香があり、香が上手につかめなかった前回の失敗
鮮やかに蘇ってきます。
次客のKさんが上手に本香を焚き添えられて、流石です。
志野袋の紐の扱いについてご指導がありました。
香盆を丸卓の前に運び、香炉を飾り、茶入を水指前に置きます。
棗を中央に置きなおすのを忘れて、香盆を持ち帰りました。

半東が席へ着くと、亭主は点前座へ行き濃茶を練ります。
そして、全員で濃茶を頂くのが仙遊の特徴の一つです。
亭主は中仕舞をして座へ着きます。

茶銘は小山園の雲鶴、まろやかな甘味のある御茶でした。
半東が拝見の茶碗を運んでいる間に亭主は点前座へ戻り、
中仕舞を解き、水一杓。

ここで亭主は客付へ廻り、「薄茶は花月で」と挨拶します。
亭主は居前に戻り、亭主と客は同時に帠紗をつけます。
順次茶碗を拝見の後、三客は茶碗を縁内に預かっておきます。
一同帛紗を付けてから三客より茶碗が返され、亭主は茶碗を取り込み総礼。
茶碗へ湯を入れ、まわしながらすすぎ、向うへついて置きます。

半東は総礼の後すぐに水屋へ戻り、
折据を乗せた干菓子盆を正客へ運び出します。
客、亭主と半東は同時に立って、
客(正客は干菓子盆を持って)は四畳半へ進み、
半東は前から、亭主は半東の後ろを通って四客へ入ります。

「折据おまわしを」で折据を廻し、続いて菓子器をまわします。、
折据は半東があずかり、干菓子器は正客へ戻します。
一緒に干菓子を頂いてから札をみて、花のみ名乗ります・・・。

先輩方のなさる仙遊之式にあこがれて、
優雅にすらすらと出来ることを目指していますが、
道遠し・・ですね。
いろいろ先生にご指導頂いて、学ぶことが楽しい仙遊之式でした。