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暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

三渓園 春草廬 (4) 

2009年11月03日 | 三溪園&茶会
     (つづき)

③二本襖の給仕口
  茶道口と並んで二本襖の給仕口があります。
  使い勝手がよさそうですが、当時としては大変珍しいそうです。

  二本襖の茶席は、清洲城から名古屋城内へ移築された
  「猿面茶室」(第二次世界大戦中に焼失)にも見られました。

  「猿面茶室」の名の由来は、床柱上方の手斧目の両脇に
  節が二つ出ており、それが猿の面のように見え、
  織田信長が秀吉の顔にそっくりだと言ったとか。
  信長が清洲城内で古田織部に作らせたと伝えられていますが、
  一説によると織田有楽作とも・・・。

  さて、茶会で二本襖をどのように使おうかしら? 思案中です。

④客座と点前座
  点前座に袖壁をつくり、客座と一線を画しています。
  さらに客座三畳の天井は一面の竿縁天井ですが、
  台目の点前座の天井だけ掛込天井になっています。
 
⑤構造材の違い
  窓の方立(ほうだて)に竹ではなく、
  削り木を使っています。
  天井の竿縁も竹ではなく、削り木ですし、
  台目構えの釣棚にも吊り竹が省かれています。

  ・・・構造材や化粧材に竹を極力使わないことで
  何かの「竹」を際立たせたかったのでしょうか?
  それは窓ごとに意匠が違う竹格子でしょうか?
  それとも、外の竹の景でしょうか?
  何度も移築されているので、外の景色は今と違っていますが・・。

  有楽作と伝わる国宝「如庵」の床柱は竹だそうです
  (残念ながら写真でしか席中を拝見していません)。
  それから竹を詰め打ちした点前座にある二つの「有楽窓」、
  竹の美、明りの美、有楽の独創性に眼を見張ります。
  「如庵」へ至る過程の九窓であり、茶室だったのでしょうか?

  想像をたくましくして、あれこれ胸を躍らせています。

これら見所を念頭に、春草廬での一服を楽しんで頂ける
茶会ができれば・・・嬉しいです。
名古屋からDさんも参席してくださるとのこと、
これまた嬉しいことです。

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  参考書:「数奇屋と五十年」中村昌生著(淡交社)
       「茶室と露地」監修・中村昌生(小学館)
       「三渓園100周年原三渓が描いた風景」(三渓園保勝会)

       写真は、春草廬に付随している広間です。