暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

春草廬・有楽茶会 (4)

2009年11月13日 | 三溪園&茶会
最終の第四席(横笛席)は、四名さまをお招きしました。

お正客のTさまは花月の会のお仲間です。
次客は名古屋から参席してくださっただちくゎんさまでした。
念願かなって春草廬で始めてお目にかかることができました。
三客のSさまと詰のNさまは私の茶事のお客さまです。
Nさまの他は男性というお席でした。

秋の日は短く、陽が翳って茶室は一層暗くなりました。
点前座にある三つの窓が明るく、亭主を助けてくれます。
夜目、遠目、傘の内でしょうか。
お客さまからは逆光になり、点前をするシルエットが
印象に残ったようでした。

外で声がしました。
三渓園のボランティアガイドさんが来園者へ
春草廬の説明をしています。

「重要文化財の春草廬は京都宇治の三室戸寺金蔵院に
 ありましたが、原三渓が譲り受け、白雲邸に隣接して・・。
 織田信長の弟、有楽が作ったと伝えられています・・」

その声をBGMのように心地好く聴きながら
軽快に?濃茶を練りました。

薄茶になり、席へ入りますと
暗い茶室の中で九つの障子窓が一層ほの白く浮き立って、
生き生きとした存在感を主張しだしました。

入る度に違う茶室の様子に息を呑み、春草廬の息遣い
のようなものを感じました。
その時は夢中でしたが、今思い出すとゾクッとしてきます。

     (前へ)    (有楽茶会 次へ)
                            

      写真は、「茶会後の談笑」だちくゎんさまの提供です。