暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

月の夕去りの茶事 (1)

2009年11月23日 | 茶事
今年は10月3日が中秋の名月でしたので
この日に月の夕去りの茶事をしました。
お客さまはインターネットのお仲間の六名さまです。

待合の色紙は「横笛」。
親友の布絵作家・森下隆子さんの作です。
詰のYさんが心をこめる板木の音が聞こえてきました。

夕去りでは初座が陽で、床に花を生けます。
糸ススキ、白の秋明菊、秋海棠を竹花入に生けました。

月の出を待ちながら茶箱・月点前にて
薄茶を一服召し上がっていただきました。

お正客のRさまは表千家の方です。
表千家では茶箱点前がないそうですが、
裏千家では六種類もあって覚えるのが大変です。
茶事で茶箱は始めてでしたが、大好きな月点前で
薄茶を差し上げることができて嬉しいかったです。

振出しには和三盆の霰糖を入れました。
手作りの霰糖は一つ一つ形も大きさも違います。

「徳島の岡田製糖所の霰糖ですね」
「あらっ、よくご存知ですね」
「私は徳島出身ですので・・・」
Yさまのお声で、四国遍路で立ち寄った岡田製糖所
懐かしく頭をよぎりました。

茶箱は一閑塗りの色紙ちらし、安本表雲斎作です。
ある花月の会で、この茶箱の銘をいくつかの古歌の中から
会員の皆さまに選んでいただきました。

  ちはやぶる神代もきかず龍田川 
       唐紅に水くくるとは  
  
在原業平の歌から「唐紅」という銘をつけて頂いた
思い出の茶箱です。
龍田川の干菓子(翆晶庵製)をお出ししました。

茶箱の茶道具は旅先や道具屋で探していますが、
いまだ未完成です。
発展途上の茶道具をご披露しました。

茶箱点前では薄茶を古袱紗に載せてお出しします。
半東のKさんの提案で、水屋からの薄茶も古袱紗に
載せたままでお出ししました。

Kさんが古袱紗をたくさん持ってきてくださり、
お客さまを思い描きながら茶碗に合わせて
二人で選びました。
この準備が結構楽しかったです。

    (つづく)              

     写真は「横笛」(布絵)です。