麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第700回)

2020-06-28 19:27:41 | Weblog
6月28日

「虐げられた人びと」をひさしぶりに通読しました。やっぱりこれは、私にとって「悪霊」と同じぐらい大事な、大好きな作品です。この中にすでにムィシキンもいれば、ニコライ・スタヴローギンも、スビドリガイロフもいます。しかもこの物語では、殺人や凌辱などの犯罪的なことはなにも行われない。超人にはすべてが許されるという極端な思想を持つ者もいないし、革命運動に加担している者もいない。みな、その萌芽は抱えながらも平凡に暮らしている――でも、心理的には誰かが誰かを殺し、誰かが誰かを犯している。いまの時代を考えると、こういう人物たちのほうがすごくリアリティがあるのではないか、と思います。とても100年以上前に書かれた物語とは思えない。とにかく、すみずみまで神経の行き届いた傑作だと思います。

先週は、書きなぐったという感じになりました。しかし、さらに付け加えるなら、80年代には丸山のような学生はたくさんいたに違いないと作者は思っています。
コメント
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