麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第483回)

2015-05-17 16:58:06 | Weblog
5月17日

巻十九に入りました。この巻含めてあと二巻で本朝仏法部は終わり。先週から読んだところでは、わらしべ長者の原作と思われる話や、日本霊異記にも出てくる、吉祥天女の像に愛欲をもよおす話などがありました。また、ある坊さんが先輩から数珠をもらい、先輩が亡くなった数年後、中国に留学。皇帝に謁見した際、皇帝の皇子が、「まだわしのやった数珠をつけているのか」と、日本語で話しかけてくる。じつはその皇子は先輩僧の生まれ変わりだった、という話なども。読むとすぐ、「暁の寺」の、ジン・ジャン(飯沼勲の生まれ変わり)と本多のやり取りが浮かんできました。「本多先生、おなつかしい……」というあの場面です。――本朝仏法部のあと続けて読むかどうかわかりませんが、講談社学術文庫「今昔物語集全9巻(天竺・震旦部)」を6巻以外手に入れました。新書3巻(東洋文庫)、文庫全15冊。すべて今昔。ならべただけでも壮観です。これは明らかに、私のような脳みその程度の人に合わせた「お経」ですね。読んでいるうちにそう感じてきました。世俗に生きる、教養のない人間でも仏教の尊さがわかる。これはそういう「平易経」として作られたのでしょう。
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