2月28日
立ち寄ってくださって、ありがとうございます。
少年少女古典文学館で「落窪物語」を読みました。
ご存知、天才少女小説家・氷室冴子さんによる翻案です。
日本版シンデレラ物語。床が「おちくぼ」んだ部屋で、継母にいじめられながら育った姫が、やさしい男と出会い、幸せになる。昔の昼メロでさんざんやりつくしたようなストーリーですが、氷室さんも書かれているように、いじめ役の「北の方」の、改心しないいじめっぷりは見事です。
また、私には、例によって、脇役で、ただ読者に笑われるために出てくる2人の男が気になりました。ひとりは、落窪の義姉の婿になる、馬のように長い顔の男。もうひとりは、落窪を手に入れられると「北の方」にそそのかされ、寒い夜、年甲斐もなく鍵のかかった部屋の戸を開けようとするうち、下痢便をもらして引き下がる老人です。
「ぶさいく」と「としより」は笑われる以外役はないという端的な考え。たしかにそのとおりですね。せいぜいそれを自覚することで、こっけいの上塗りをしないでいることが大事でしょう。
☆
文春文庫から「文学全集を立ち上げる」という本が出ました。
丸谷才一さんほか2名が「もし自分たちが、世界文学全集と日本文学全集をつくるなら、どの作品を入れて、どの作品をはずすか」について対談形式ですすめていく内容です。
世界文学全集のほうでは、丸谷氏が「ドストエフスキーは、一作だけなら『悪霊』だと思う」といっていて、大きくうなずけたし、日本文学全集では「僕は小林秀雄がよくわからない」という発言もあって、これもまったく同感。ディケンズと漱石を重くあつかうところも。逆に、ヘッセもロマン・ロランもいらないとは私は思わないし、ヘミングウェイの長編がつまらないとも思いません。また、ワシントン・アーヴィングは名作集の中にだけでも入れるべきだと思いますが、まったく触れられていないのはちょっと不満です。
いずれにしても、心の中で、あるいは声に出して「そのとおり。いや、それはちがう」と最後までぶつぶつ言いながら読める楽しい本です。
☆
しばらく前から、アーヴィングの「アルハンブラ物語」を読んでいます。今下巻の後半。来週までに読了していればなにか書こうと思います。
☆
では、また来週。
立ち寄ってくださって、ありがとうございます。
少年少女古典文学館で「落窪物語」を読みました。
ご存知、天才少女小説家・氷室冴子さんによる翻案です。
日本版シンデレラ物語。床が「おちくぼ」んだ部屋で、継母にいじめられながら育った姫が、やさしい男と出会い、幸せになる。昔の昼メロでさんざんやりつくしたようなストーリーですが、氷室さんも書かれているように、いじめ役の「北の方」の、改心しないいじめっぷりは見事です。
また、私には、例によって、脇役で、ただ読者に笑われるために出てくる2人の男が気になりました。ひとりは、落窪の義姉の婿になる、馬のように長い顔の男。もうひとりは、落窪を手に入れられると「北の方」にそそのかされ、寒い夜、年甲斐もなく鍵のかかった部屋の戸を開けようとするうち、下痢便をもらして引き下がる老人です。
「ぶさいく」と「としより」は笑われる以外役はないという端的な考え。たしかにそのとおりですね。せいぜいそれを自覚することで、こっけいの上塗りをしないでいることが大事でしょう。
☆
文春文庫から「文学全集を立ち上げる」という本が出ました。
丸谷才一さんほか2名が「もし自分たちが、世界文学全集と日本文学全集をつくるなら、どの作品を入れて、どの作品をはずすか」について対談形式ですすめていく内容です。
世界文学全集のほうでは、丸谷氏が「ドストエフスキーは、一作だけなら『悪霊』だと思う」といっていて、大きくうなずけたし、日本文学全集では「僕は小林秀雄がよくわからない」という発言もあって、これもまったく同感。ディケンズと漱石を重くあつかうところも。逆に、ヘッセもロマン・ロランもいらないとは私は思わないし、ヘミングウェイの長編がつまらないとも思いません。また、ワシントン・アーヴィングは名作集の中にだけでも入れるべきだと思いますが、まったく触れられていないのはちょっと不満です。
いずれにしても、心の中で、あるいは声に出して「そのとおり。いや、それはちがう」と最後までぶつぶつ言いながら読める楽しい本です。
☆
しばらく前から、アーヴィングの「アルハンブラ物語」を読んでいます。今下巻の後半。来週までに読了していればなにか書こうと思います。
☆
では、また来週。