麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第154回)

2009-01-19 00:44:40 | Weblog
1月19日


立ち寄ってくださって、ありがとうございます。

耳の調子が悪いせいだと思いますが、おさらばしたいような気分がずっと続いて、ほとんど丸一日横になっていました。夕方、どうにかしなければと思い、近所の商店街まで外の空気を吸いに出て、さっき戻ってきました。

マイナスの気持ちが本能的にプラスの思い出を引っ張ってきたようで、ふいに浪人時代、たぶん、梅雨に、予備校からの帰り道、雨がざあざあ降る中をヤケクソな気持ちでゆっくり歩いていたら、自習室でときどき見かける女の子(たぶん国立文系)が、「入りませんか」と傘に入れてくれたことを思い出しました。一言もしゃべらずに広島駅まで約20分2人で歩きました。彼女とは反対方向の電車だったので、一礼して別れ、それ以降予備校で会っても話もしませんでした。この思い出の何がプラスかというと、私には「青春」のようなものがなかったと思っているのですが、これはきっと「青春」のひとコマの部類に入るのだろうなと思うからです。

あのとき、ヤケクソな気持ちで歩いていたのは傘がなかったからではなく、当時は常にそんな気分だったのです。「どうにでもしやがれ。クソ。降れクソ。クソ信号のクソ横断歩道。クソ世界が」。考えているのはそれだけでした。なんと元気な若者だったことか。――自分ではすでに60年くらい生きているような気でいましたが。



なんとかおさまったようです。

では、また来週。
コメント
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