鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

政府、および安部首相はなぜ妥結したTPPの内容、および交渉経過を明らかにしないのか

2016-04-08 | Weblog

 7日夜、テレビを見ていたら、国会の衆院特別委員会でTPP(環太平洋経済連携協定)をめぐる論戦が始まった、と報じていた。過去4、5年にわたって米国はじめアジア太平洋諸国と交渉を重ね、昨年末にようやく合意にこぎつけたものの、果たしてこれが国、もしくは国民のためになるものか、いまひとつわかりにくいのを、交渉の経緯を含めて論証してみよう、というのが国会論戦となったものである。ところが、肝心の甘利明前経済担当大臣がつい先ごろカネをめぐる不祥事で退任する事態となり、どこまでメスが入れられるのか、と注目を集めていた。

 ところが、この国会論戦、冒頭から民進党の玉木雄一郎議員が真っ黒に塗りつぶされた政府の交渉資料を示して、「ここまで真っ黒の情報(資料)は見たことがない」と石原伸晃TPP担当相らに激しくつめよった。40数ページの資料はすべてタイトルだけが読めてあとは真っ黒に塗りつぶされていて、これでは何も公開しない、といわんばかりだ。こんな資料提出でよしとする政府、安部首相の考えが全く理解できない。これに対して安部首相は「交渉は妥結した結果がすべてだ」と答弁し、「協議がすぐに表に出れば、外交交渉はそもそも成立しない」と主張した。確かに政府は交渉に参加する際、参加国と秘密保持契約を締結しており、これまで交渉にあたっていた甘利前TPP担当相は交渉の経過についてはひたすら沈黙を守って、一切交渉内容について語ってこなかった。

 それがTPP交渉が妥結し、政府は農家や国民のためになると広言しているが、その詳しい妥結内容、および交渉経過については相変わらず明らかにする姿勢を見せていない。かつて国会で長い論議の末、成立させた特定秘密保護法を盾にこの日も公然と黒塗りの資料を示すだけで論戦を乗り切ろう、としている。そもそもこの衆院特別委員会も野党の執拗な開催要求の果てに開催されたもので、開催するからには多少の討議の土台となる材料が示される、と期待されていた。

 ところがふたを開けてみると相変わらずの秘密主義で、これで国会論戦が乗り切れるものと踏んでいた与党の甘さが露呈された格好である。政府部内では黒塗りの資料にする前のまっさらの資料を見たものがいるわけで、これをどこまで非公開とするかを判断した人物がいるわけである。それなのに野党の委員には公開しない、というのは全く国民をバカにしたものである。秘密保護法がいかなる規定を設けてこうしたことができるようにしているのか、詳細はわkらないが時の政府の考えひとつで「秘密」とするか、しないかが決められるようになっていないか、危惧されるところである。 安部首相もこんなことで国会論戦を乗り切れる、と考えているとしたら、あまりにも国民をないがしろにしている、と言わざるを得ない。

 特別委員会では民進党の大西健介委員が甘利前担当相の委員会への出席を求めたたが、甘利議員は病状が思わしくないうえに「安部内閣の一員でない」(安部首相)とのことから「出席して答弁する必要がない」とのことだが、当事者が答えることを拒否しているようにしか受け取れない。いずれにしろ、政府、および安部首相はTPPについてもっと公明正大に明らかにする必要がある。

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