鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

演劇「ブレス オブ ライフ」で、永年ファンの若村麻由美の熱演を真近に見られて幸せだった

2014-10-13 | Weblog

 12日は東京・初台の新国立劇場で演劇「ブレス オブ ライフーー生命の息吹」を観賞した。英人作家のデイヴィッド・ヘアの作品で、ひとりの男に捨てられた妻と愛人が夫をめぐってお互いの存念をぶつけ合う2人だけの芝居で、若村麻由美と久世星佳が熱演した。最前列の席だったので、思い切り美人女優を眺めることができたが、内容がきわどいセリフの連続で、息がつまるような思いもした。終演後、たまたま演出家の蓬萊竜太氏と芸術監督の宮田慶子女史を交えて4人のシアタートークを今度は最後部の席で聴き、初めての女2人芝居に取り組む関係者の意気込みを聞き、二重に楽しむことができた。

 「ブレス オブ ライフ」は英国南部の小さな島、ワイト島に住むマデリンのもとを愛人の妻だったがいまは別れて流行作家となっているフランシスが訪れる場面から始まる。戸口で応対するマデリンは予め電話で萊訪を告げられていたとはいえ、唐突な訪問に戸惑い、どうしたらいいのかと訝りながら、ひとまず中へ入ることを進めてしまう。以前にあるパーティで顔を合わせただけで、ほぼ初対面の2人が手探りながら、相手の反応を確かめながら、なぜ訪問に至ったのかという話から対話を始めていく。

 マデリンはフランシスのことをずっと前から知っていたが、フランシスがマデリンの存在を知ったのは夫のマーティンと結婚してだいぶ過ぎてからのことで、話はそのことから始まる。次いでなぜ訪問することになったのかになり、書いてみたくなった、と打ち明ける。それで、お互いがマーティのことをどう思っているかから始まっていまの心境にと話は延々と続いていき、遂には夜も更けてフランシスはマデリンの家に泊まっていくことになる。初めて訪れた家に意気投合したわけでもないのに一人の女性が見知らぬ女性、しかも夫の愛人だった女性の家に泊まっていくことなんてことはありえない、と思いながら、思わず見入ってしまった。

 翌朝になり、お互い気まずい気分になることもなく、再びマーティンの思いで話に花を咲かせることとなる。初めて聞くような話に思わず引き込まれ、「その時、どう思ったの」とか、「「それでなんと言い返したの」とかで話は尽きることなく続いていく。終演後の「シアタートーク」で、演出の蓬莱竜太氏が「女性だからこういうことが起きるが、男性の場合、お互いが愛した女性の話で夜を徹して語り明かすことなんてない」と語っていたが、本当にそうだと思った。だからこんなテーマで女性の2人芝居が成り立つのだ、と納得した。

 見ながらどういう結末にするのかな、と思っていたら、終盤にほぼ話尽きて、帰ろうとしてマデリンの部屋のあと片づけをsいていたフランシスが机の上にある写真立てを見つけ、そこに若い時のマーティンとマデリンが写っているのを発見し、驚き、フランシスに確認する。フランシスはその時の経緯を詳しく語って聞かせると、フランシスは納得したkのように「もうここことを書くのはやめにした」と言い切る。この訪問の目的は終わったと思わせるかのようにマデリンの家を立ち去り、フランシスが送っていくところで、芝居はあっけなく終わる。このあと2人はどうなるのか、ということが気になった。

 舞台の両面には高い天井までぎっしりと本棚に詰まった本があったのと床に立てかけてあった動かない古びた時計が置いてあったのが気になった。多くの蔵書でメデリンの学究肌が想像できたが、大きな時計が何を意味するのか、わからなかった。「シアタートーク」で質問してみたい、とも思っていたが、その機会がなかったのが残念なことだった。それにしても永年ファンだった若村麻由美をこんなに真近に見られて幸福なひと時であった。

 

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