鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

見当違いの請負代金請求裁判も第3者が引き受けてケリがついた

2010-10-07 | Weblog
 6日は東京・霞が関の東京地裁へ裁判の傍聴に出かけた。午後1時30分から630号法廷での「おもだか」なる会社がハイデルベルグ・ジャパンを請負代金請求で訴えている民事裁判を傍聴することにした。まず被告側のハイデルベルグ・ジャパンの取締役だった中年の女性が証言台に立ち、2年前に毎年作成している販促用カレンダーに歌舞伎役者を登場させることにし、アム・アソシエーツなる代理店を通じて「おもだか」とカメラマンの「みなもと」社に仕事を発注したものの、その代金が払われていない、という内容だった。
 その割りには「おもだか」用に企画書を作成してプレゼンしたり、仕事を受けた方はあくまでもハイデルベルグ・ジャパンから発注を受けたものと思っていたようなふしがうかがえた。ただ、アム・アソシエーツの担当者がいないので、詳細なやりとりについては双方が勝手に思い込んで、仕事を進めてきたような感じだった。広告の掲載ならともかく、業者に直接仕事を頼むようなことでも広告代理店が間に立って仕切ることがありうるのか、とかく広告の世界は契約書なしの口約束だけで物事を進める風習なので、わかりにくい面がある。
 証言を聞いているうちに「おもだか」は歌舞伎の市川猿之助一派を率いる「おもだか屋」の「おもだかで、いわゆる歌舞伎界のエージェントであることが判明した。証人に立った役員らしき人はどことなく市川猿之助に風貌が似ており、いかにも歌舞伎の世界に生きている感じだった。驚いたのはわずか6枚のカレンダー用の写真を撮るのに歌舞伎役者6人を動員して、500枚もの写真を撮り、そのなかから立ち居振る舞い、光線の具合いなどから6枚を選択したというが、その撮影代金が90万円で、「おもだか」が請求した金額は600万円にものぼった、ということだった。なんでも衣装、小道具だけでも支払いは200万円にも及んだ、という。ただ、その金額を決めたのは代理店のアム・アソシエーツとの間で、アム・アソシエーツに請求したところ、払ってもらえないので、ハイデルベルグ・ジャパンに請求するに至った、という。
 ハイデルベルグ・ジャパンはすでに840万円をアム・アソシエーツに支払っているので、問題はアム・アソシエーツが支払わないのかということで、「おもだか」はなぜアム・アソシエーツに請求しないのか、疑問に思っていた。
 で、最初から被告席に座っていた杖をついた髭面の老人が証言台に立って、問題のアム・アソシエーツの代表取締役社長であることを告げ、「ハイデルベルグ・ジャパンのカレンダーは毎年当社が企画して制作にあたってきた。今回のプロジェクトは大幅な赤字だったので支払いが遅れている。関係者に申し訳ない。いまでも払わなければならない、と思っている」と詫びて、すべてが氷解した。ただし、いまは経営が芳しくないようで、「払えない事情にある。来年春にはなんとかしたい」とも述べた。
 ハイデルベルグ・ジャパン側は「責任ゼロ」と主張し、ことはアム・アソシエーツが引き受けることで一件落着した。最後に裁判長も「何事もこういくといいですね」と判決の日時を告げていた。
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