鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

医は仁術か、算術か

2007-05-10 | Weblog
 医者向けの雑誌、日経メディカル(日経BP社発行)の最近号に医者に関する面白いアンケート結果が出ていた。患者から謝礼として金品を提供された場合、「受け取らない」と答えたのはわずか10%強で、80%弱の医者が「最終的には受け取る」と回答している。徳島の腎臓移植などで医者のモラル低下が叫ばれているが、こんなところにも医者の意識の変化がみてとれる。コーポレート・ガバナンスの相当するホスピタル・ガバナンスの確立が必要なようだ。
 日経メディカルのアンケート調査はネットを通じて行われたようで、回答は258人と少ないが、医者の行動を知る上では貴重な結果となった。患者から謝礼として金品の提供を申し出られた際の対応を聞いたところ、「受け取る」と答えたのが36%、「断れない時もある」、つまり最終的には受け取るとしたのが41.1%で、「受け取らない」と明白に答えたのが13.6%だった。よく、患者でお世話になった時にお礼をどうしたらいいのか、悩むことがある。病院によっては掲示板に「金品の謝礼は固くお断りしまう」と書いてあるところがあるが、このアンケーートから見る限り、どうも建前のようである。
 続いて、「金品の受領についてルールを決めているかどうか」を聞いたところ、「ある」としたのが41.1%、「ない」としたのが39.5%だった。そこで、「ある」と答えた106人にその内容を聞いたところ、92人が「金銭、品物問わず一切の受領を禁止している」と答えた。
 つまり、全体の36%にあたる92人が「金品の受領を禁止するルールがある」と答えている。にも関わらず、はっきりと「受け取らない」と答えたのは13.6%の医者しかいなかった。ルールがあることを知っていながら、ズルズルと破ってしまっている、ということである。ルールといっても法律で定められていることではないので、コンプライアンス(法令順守)を問われることはないが、モラル違反には問われそうである。
 かつてはお金持ちの代名詞であった医者も最近は過当競争気味で、必ずしも医者イコールお金持ちではない。だから、といって患者からの金品でその差を埋めなさい、というわけでもなかろうが、医者の医者たる所以である使命感、患者の命を守る高い倫理感が損なわれるようではまずい。
 ここはひとつコーポレート・ガバナンスに沿ってホスピタル・ガバナンスともいうべき規範をつくって周知徹底を図るべき時だろう。
 
コメント
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