鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

悪の連鎖

2005-12-17 | Weblog
 松本清張が生きていたら、きっと今回の建築構造データ偽造事件を取り上げ、「悪の連鎖」とでもタイトルをつけ、推理小説風に仕立てたことだろう。事件の構造、仕組み、背景は日本の戦後経済が育ってくるなかで多くの利害関係者が私利、私欲を肥やすために、創り上げていったものだろう。今年の重大ニュースになるのはもちろん、戦後の歴史に深く刻みこまれる事件であるのは間違いない。今後、司直の手に委ねられて、解明されることになる、と思うが、政界、官界、果てはマル暴関係にまで及ぶのは間違いないところだろう。
 今回の事件の登場企業、人物を見ていて思うのはいずれも1.5流以下の企業、人物ばかりであることだ。それにしては堂々としていて、少しも悪びれたところがないのが気になるが、どこかで本人が一流と思う筋と結びついているのかもしれない。それで、総合経営研究所が主に手がけたホテル業界というものは老舗旅館が新たに乗り出す以外はほとんど他業界からの新規参入である。なんらかの事業で稼いだお金があるからとか、なんとなく儲かりそうだからとか、地元でちょっと有名になりたいとか、なにかしら野心のある企業、人がホテル経営でもやってみようかな、と考える。ホテルといえば、ラブホテルも範疇に入るかもしれない。
 そう考えて、ふと数年前の日本経済新聞社の屋台骨を大きく揺るがしたTCワークスが結局、ラブホテルの装飾施工に乗り出し、施工完了後代金を請求しても工事のある箇所が不具合だとか、雨漏りがするとかの難癖をつけて、なかなか払わず、あげくの果てに資金ショートして手形を乱発するに至り、100億円もの穴をあけ、事実上倒産してしまったことを思い出した。あとで、ラブホテルの経営者のほとんどあマル暴関係だったことが判明したが、あとの祭りだった。ホテル経営には宿泊者の管理に入退室管理と会計システムが直結したホテルオンラインシステムが不可欠である。以前にこのホテルオンラインシステムを専門にやっている企業を取材したことがある。これも悪の連鎖の一つだったのかもしれない。
 ホテルといってもラブホテルともなると、とても大手のゼネコンは手がけないだろう。参入する方にもなんらかの負い目があり、そこをつけ込まれて、建築設計データの偽造からはじまってホテルオンラインシステムまで一切合切面倒をみる総合経営研究所のコンサルティングのお世話になってしまう、と。これにマル暴、政治家がからんでくれば、悪の連鎖は出来上がる、という寸法だ。地下の清張さんは格好の素材に切歯扼腕していることだろう。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする