鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

トヨタ自動車

2005-12-01 | Weblog
 日本経済新聞社が毎年行っている企業の設備投資調査の2005年の設備投資額ランキングで、何とトヨタ自動車が1兆4000億円と断トツの一位になっている。考えてみれば、いまや年間売上高19兆5000億円、経常利益1兆7800億円(いずれも連結)ある日本一の企業であるので当然といえば当然のことだ、多分、もう数年前からそうなのであろう。かつては電力会社が設備投資額ナンバーワンの地位にあった。日本経団連の会長もトヨタ、今年2200万人の来場者を集め、大成功に終わった愛知万博も実際はトヨタ万博だったし、年初に開港した中部国際空港もトヨタ空港と言われている。スポーツ界でもヤワラちゃんこと谷亮子はトヨタ自動車所属だし、フィギアスケートの安東美姫もトヨタ自動車入りするといわれており、いずれ中日ドラゴンズもトヨタドラゴンズとなり、スポーツ界にトヨタがどんどん進出してくるのではなかろうか。
 トヨタの売上高のうち原材料である鉄鋼板、エレクトロ製品などの購入額の多さに設備投資額が加われば、日本の産業界への部材調達での影響力は計りしれないものとなる。どこの企業もなんとかして、トヨタから仕入れてもらおう、と必死になることだろう。宮内庁御用達ならぬトヨタ御用達が秘かにささやかれているのかもしれない。トヨタお膝元の中部地方だけでなく、いまや間違いなく日本全国の業者がトヨタ詣でに力を入れていることだろう。日本だけでなく、東南アジアから世界にも広がっているのでは、と思われる。
 トヨタへ参じる出入り業者は必ず自動車はトヨタブランドで行かないと仕事がもらえない、という。日産の車でも近くでトヨタの車を調達して乗り換えるとか。トヨタ自動車の役員の家にはお中元、お歳暮の時期になると宅急便の車がひっきりなしに訪れる、という。日本のトヨタから世界のトヨタになっても体質は変わらないだろう。
 トヨタ自動車が本社を構える愛知県豊田市はかつて挙母市という由緒ある名前の市だった。それを市長、市会議員をトヨタ一色にして、市名変更してしまい、あげくの果てに本社所在地を豊田市一丁目一番地としてしまった。現在のトヨタ自動車の社員6万4千人、それに周辺のグループの従業員を含めれば何十万人にものぼるが、当時のグループの力をもってすれば、そんなことはわけないことだったのだろう。
 トヨタ自動車は工場の海外進出する前の工場はいずれも愛知県企業局の造成した単価の安い工業用地に立地していた。それにモータリゼーションの進展の背景には自動車の走るインフラである高速道路はガソリン税など特定財源で国がどんどん造成して、自動車が売れる土壌づくりを官が援助してくれた点も指摘しておかなくてはなるまい。
 それが今日のトヨタを成している。いまの若干、驕り高ぶったトヨタ自動車の姿には創業者、豊田佐吉の滅私奉公の精神が失われている気がしてならない。
 

 
コメント
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