25日ちょっと旅行に出て先のホテルで、夕刻テレビを点けていたら、岸田首相が今日、渋谷にオープンした「渋谷サクラステージ」なるショッピング施設の開所式に出席して、挨拶した、と報じていた。鈍想愚感子もこの週初めにその「渋谷サクラステージ」の関係者披露会に参加して一覧してきたが、どこと言って特徴があるような施設でもなくて、単に渋谷の一角にレストランと物販店が軒をそろえたショッピング施設ができた、というだけで、それほど注目を集めるようなものでもなかった感想を持った。
そんなどこにでもある商業施設ができたからと言って、一国の総理大臣がわざわざお出ましして、祝辞を述べるようなものなのか、と疑問が湧いた。どうせ、東急グループのお偉方の一人が知り合いの政治家を通じて、岸田首相のお出ましを画策しそれが通った、ということなのだろう。岸田首相が頭の上がらない筋の自民党の巨頭あたりへの伝手を頼ってのことなのだろう。そんなルートの経過を辿るような知り合いもいないので、あくまでも憶測に過ぎないが、今日26日の各紙の首相消息欄を見ると、確かに岸田首相は25日の9時11分に公邸を出て、渋谷に向かい、渋谷サクラステージ記念式典に出席と掲載されている。
この程度のイベントに一国の総理大臣がお出ましになるということはお誘いさえあれば、どこにでも総理大臣が出席するということはなんの基準もない、ということなる。いやしくも公費を使ってお出ましになるのだから、出席の基準というものがあって然るべきなのに、ノーズロでは総理大臣の行動基準なるものがまるでない、ということになる。もともと岸田首相にはそうした基準らしきものはまるでない、という印象がある。これでは首相たる威厳があったものではないし、奉るような尊敬の気も起きてこないことだろう。
しかも岸田首相がいまどういう状況に置かれているかは新聞、テレビがそろって9月の自民党総裁選に向けて必死の出馬情報を集め、自らも参戦する構えでいることは間違いない。そんなさなか、こんなありふれたショッピング施設の歓声披露式にお出ましになるというのはどう考えても合点がいかない。そんなことをしている状況にあるのか、これで岸田首相の周りには事の是非の判断が的確にできる御仁がいないということがはっきりと裏付けられたこととなる。
岸田首相自身がそうした判断をするのに一番の責を負うのはもちろんであるが、その判断を行うのに適切なアドバイスする人がいない、ということが今後の岸田首相の動向に大きな影を落とすこととなるのは間違いないことだろう。それこそ、先の東京都知事選で小池百合子知事に次いで2位となった石丸伸二元安芸高田市長が広島一区に出馬し、岸田首相を追い落とすことを策略していると伝えられているが、そんなことも十分にありうることだ、と思えてくるのも無理のないところだろう。