prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ノーマ・レイ」

2019年09月28日 | 映画

もろにブルーカラーそのものの工場労働者の女性がよそからやってきたオルグの男の影響を受け労働組合の結成を呼びかけるに至る話なのだが、イデオロギー色は薄く、働いているのだから生活を支えられるまともな報酬を支払えという呼びかけとそのためには団結が必要だという明快で説得的な線でまとめている。

アメリカの映画やドラマを見ていて感心するのはそのリアリズム演技の見事さで、出てくる労働者役の役者がみんなブルーカラーになりきっている。若い時からのキャリアとバート・レイノルズとのカップルで可愛い子ちゃん的なイメージだったサリー・フィールドがいきなり演技派に転身して熱演というのではなく、へちゃむくれで幼な顔が残ったままで傍から見た時の自分とその周囲のおかしさに気づくあまりアカデミー賞的でない演技でアカデミー賞主演男優賞。
服装の汚れ具合も工場の映像も一瞬も説得力を失わず、しかも美的でもある。この生活感があってそれを支えるのに必要ななものもわかる。

監督が赤狩りにひっかかったことがあり赤狩りにひっかけたウディ・アレン主演(で珍しく監督していない)コメディ「ザ・フロント」のマーティン・リットということもあってか、労働者仲間の離反や村八分的な態度の描写も入ってくるが、最終的には「UNION」と書かれたボードをヒロインが掲げるところでぱっとまとまる。組合という意味以上に団結という第一義が

オルグの男(ユダヤ人)とノーマが恋愛関係にならなくても信頼を築けるのも不自然でなく描けている




9月27日のつぶやき

2019年09月28日 | Weblog