駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

テッド・チャン『あなたの人生の物語』(ハヤカワ文庫SF)

2017年10月07日 | 乱読記/書名あ行
 地球を訪れたエイリアンとのコンタクトを担当した言語学者のルイーズは、まったく異なる彼らの言語を理解するにつれ、驚くべき運命に巻き込まれていく…映画『メッセージ』の原作始め、ヒューゴー賞受賞作やネビュラ賞受賞作を含む全8編を収録した短編集、

 映画がとてもおもしろかったので読んでみました。聞きしに勝る充実っぷりで、どの短編もセンス・オブ・ワンダーにあふれている傑作揃いで、でもどれも全然タイプの違う物語で、どういう頭の構造をしている作家なの!?と恐ろしいほどです。スリリングに、ワクワクと、ねちねち読みました。
 でも、先に見たからかもしれませんが、表題作は映画の方が私は好きかな。というか、この原作からああまでイマジネーションを広げてあの構成であの映画にしたのは、ものすごい手腕なのではあるまいか…
 大変寡作な作家さんのようですが、新作が待たれます。


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窪美澄『やめるときも、すこやかなるときも』(集英社)

2017年10月07日 | 乱読記/書名や・ら・わ行
 家具職人の壱晴は毎年12月の数日間、声が出なくなる。過去のトラウマによるものだが、原因は隠して生きてきた。制作会社勤務の桜子は困窮する実家を経済的に支えていて、恋と縁遠い。欠けた心を抱えたふたりの出会いの行方は…

 「大切な人の死を忘れられない男と、恋の仕方を知らない女」と帯にあります。こういう経験をした人がいることも、こういう家庭の事情を抱えた人も現実にはたくさんいるのだろうとは思うのだけれど、そういうふたりが出会ってこういう恋愛を展開し結婚に至ることには私はリアリティをまったく感じられませんでした…
 でも、だからこそ、なんとなく興味本位で、というか、本当にそう展開するの?と危ぶみつつ、意外に?楽しく読んでしまいました。初めて読んだ作家さんでしたが、端正な文章を書く方ですね。女による女のためのR-18文学賞受賞でデビューした作家さんなんですね。機会があれば他の作品も読んでみたいです。


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