駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

『祈りと怪物 KERAバージョン』

2012年12月15日 | 観劇記/タイトルあ行
 シアターコクーン、2012年12月12日ソワレ。

 過去なのか未来なのか定かではない、架空の国に属する架空の町、ウィルヴィル。海と火山に囲まれたこの小さな島の小さな町は、ドン・ガラス・エイモス(生瀬勝久)に支配されている。彼は巨大な邸宅に長女バララ(久世星佳)、次女テン(緒川たまき)、三女マチケ(安倍なつみ)、後妻エレミヤ(峯村リエ)とともに住んでいる…
 作・演出/ケラリーノ・サンドロヴィッチ、音楽/パスカルズ、美術/BOKETA。全3幕。

 10分ずつ2回の休憩含め4時間10分の長丁場でしたが、退屈はしませんでした。
 わらわら出てくる登場人物がつながり出していってさてどうなる、というのを追っているうちにカタストロフィが…というような展開なので。
 私はギリシア神話もシェイクスピアもまあまあ読んでいますが、そんな香りは出ていましたね。
 ダーク・ファンタジーとか大人のおとぎ話とか言われているようですが、むしろ寓話かな。痛々しかったり過激だったりおどろおどろしい部分もありますが、私は後味は決して悪いとは思いませんでした。何を描いたラストとはもちろん明言できませんが、死や眠りや夢や忘却や滅亡はみんなに等しく訪れるものなのだ、ということを言っているのだと私には思えて、そしてそれは別に当たり前のことで、後味が悪いとか絶望的で暗い終わり方だとかとは思えなかったので。
 同じ脚本で蜷川バージョンが年明けに上演されるわけですが、お衣装やセットや音楽は変わってくるのだろうし、どう違って見えてくるのかがまた楽しみです。

 サブタイトルでもある三姉妹は美しく禍々しい三美人で、ノンちゃんもちゃんとそう見えました。さすが役者だわ。
 蜷川版でスミカが演じるのは夏帆がやっていた被差別階級の娘レティーシャですよね? 背中しか見せないまでももろ肌脱ぎシーンがありましたよ、楽しみ!(オイ)

 ケラ作品では常にキーパーソンに扮する大倉孝二、このパキオテは蜷川版では誰がやるのかな?
 でも役の軽重や意味も違って見えてくるものなのかもしれませんね、それも楽しみです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

宝塚歌劇雪組『JIN-仁-/GOLD SPARK!』

2012年12月15日 | 観劇記/タイトルさ行
 宝塚大劇場、2012年10月14日マチネ。
 東京宝塚劇場、2012年11月29日ソワレ、12月11日ソワレ。

 2012年、東京。脳外科医の南方仁(音月桂)はその高度な手術技術によって多くの命を救う「神の手を持つ外科医」として絶大な信頼を寄せられていた。しかし彼自身は、最愛の女性・結命(舞羽美海)を病で亡くした心の傷から、未来への希望を持てないでいた…
 原作/村上もとか、脚本・演出/齋藤吉正、作曲・編曲/青木朝子、手島恭子。
 雪組トップコンビのサヨナラ公演。

 長い原作漫画とそのテレビドラマ版のあらゆる要素をかなり無理して詰め込んだ舞台で、正直気忙しいし、ああなってこうなってという筋書きはあるけれどキャラクターの心理的なドラマはほぼないに等しいという、困った舞台になっているとも思います。
 でも、江戸の町のみんなが日々の幸せを歌いみんなして仁先生への感謝を歌ったりするサヨナラモード場面もきっちり組み込まれ、力づくで感動させられる感じがまたなんとも悔しい…
 たくさん役があってちょこまか小芝居していて、役不足でもみんながんばっていて、そういう意味でもいい公演ではあったのかもしれません。

 ショー・ファンタジーは作・演出/中村暁。
 まったくもってド定番のショーで、なんでもできるキムには役不足というより舞台不足でしたが、デュエットダンスが三度あったりして素敵だったのでこれまたいいかとムリヤリ思わされるという…
 スターがわらわらいて次々出てきて楽しくてあっという間でした。しょぼん。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ラストダンス』

2012年12月15日 | 観劇記/タイトルや・ら・わ行
 シアタークリエ、2012年12月10日ソワレ。

 宝塚歌劇団を振り出しに、帝劇ミュージカルス、日劇のショー、菊田一夫による東宝ミュージカル、黎明期の翻訳ミュージカル、まだリサイタルが珍しかった時代に個人でのリサイタル…と活躍の場を広げていった越路吹雪。その足跡を辿り日本のショー・ビジネス発展史を辿る舞台。
 原作/岩谷時子、脚本/高平哲郎、演出/山田和也。全2幕。

 作りつけのような舞台がちょっとした装置の移動や照明の変化で次々と場を変え、時間軸を変える演出がとても舞台らしく、おもしろく観ました。
 ただ、全体としては単調だったかな。私は本物の越路吹雪をほとんど知らないので、そのせいでのめりこめない、というのもあるかもしれませんが…
 コーちゃん役のアサコは天真爛漫でキュートでチャーミングで女っぽく、とてものびのびしていたと思います。ただ歌はいろんな意味で物足りなかったかなあ。
 素晴らしいのはやはり岩谷時子役の斉藤由貴でした。最後につぶやくように歌う「ラストダンスは私に」、そりゃ泣くよね。
 彼女の著作を読んだことがないし、主に翻訳の仕事でしか存じ上げませんが、結婚しなかったのはたまたまだろうし、ウマが合って長々マネージャーを務めることもまあ普通にあるよねと思うのですが、やはりそこになんとはなしの百合百合しさを感じずにはいられず、それがまた素敵でした。
 何役も務める男優陣も芸達者で、時空を超える宇野まり絵の暑苦しさ・上手さもすばらしい。少人数の舞台の楽しさを堪能しました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする