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温暖化講座、落葉の仕組みと葉緑体の由来

(「ハテナ」- 分裂すると葉緑体は片方へ)

(昨日の続き)
秋になると葉が黄色や赤に紅葉して落葉する。樹木が冬支度をするためだと理解はしていたが、そのメカニズムについては知らなかった。

秋になると日差しが弱まって、だんだん光合成も出来なくなってくる。光合成をしない葉緑体は樹木には不要になる。冬に耐え、春の芽吹きに備えるために、葉にある葉緑体をタンパク質に分解して、木の幹に移す作業が始まる。緑の葉緑体が減っていくと木の葉が元々持っている、赤(アントシアニン)や黄(カロテン)の色素が表面に見えるようになる。これが秋の紅葉になって見える。タンパク質が葉から幹への移動を終えると、葉の根元で縁が切られ、風とともに落葉する。春には蓄えた養分を使って新芽を出して、新しい葉緑体を持った葉で樹木が覆われる。

ところが、ケヤマハンノキは晩秋まで紅葉しないで緑のままで葉を落とす。他の落葉樹のように、早々と栄養分を葉から幹に移すことをせずに、ギリギリまで光合成をして養分を溜め込み、葉緑体のそのまま残った葉を、緑のままで捨てる道を選んだ。その方がケヤマハンノキには効率的だったのだろう。また、ヤシャブシのように、山から町に移植すると山より落葉が後れたり、落葉しなくなったりするケースもある。一方、針葉樹は光合成が出来る期間が短い寒冷地に生育するため、落葉して春に新しい葉を作る時間的な余裕がない。だから、葉を落とさないで葉緑体を持ったまま(緑のまま)冬を越すという。

このように、樹木は芽を出した場所から他へ土地へ移動することが出来ないから、その場所の気候に適応して様々な工夫をしているといえる。

ほとんどの植物の葉が持っている葉緑体はどこから来たのであろうか。オーストラリアのシャーク湾にストロマトライトという丸い岩状のものがごろごろしている地形がある。これは酸素がほとんど無かった原始の地球で、光合成によって酸素を作った藍藻類の死骸と泥が積み重なったものだといわれる。藍藻類は原始的な細菌で、過酷な環境でも生息でき、原始の地球には至るところにいた。

この藍藻が原生動物に取り込まれて葉緑体となって共生し、植物の元になったといわれる。近年「ハテナ」と名付けられた、藍藻を取り込んだ原生動物が日本で発見された。「ハテナ」は二つに分裂して増えるとき、一方がすべての藍藻を受け継ぎ、他方は透明のままで、分裂の後に新たに藍藻を取り込んで、共生を始めるという。原始の状態をそのまま残す生き物であるが、植物なのか動物なのかわからないので、「ハテナ」と名付けられた。
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