最近あまり使われなくなってきましたが「ロマンスグレー」という言葉があります。白髪のダンディな紳士のことです。イメージ的には今なら舘ひろし、かつては岡田真澄とかですが、とにかくカッコよくてジェントルで女性をエスコートできる色気のある初老の男性のことです。少々カッコつけ過ぎていて、いけすかないところもありますが、おおむね女性にはモテるというのがデフォルト設定です。
対照的な存在として不良ジジイというのがいます。ロマンスグレーほど定着している言葉ではありませんが、まあイメージはできることかと思います。ヤンチャでワガママでいつまでたっても子どもっぽくて、でも面白くて刺激的な老人。ビートたけしとか、泉谷しげるとか。石橋貴明あたりも今後そうなっていきそうです。
僕は若い頃はロマンスグレーのモテ老人になるのが憧れでした。60代とかで大人の余裕をかまして娘のような年頃の女性にモテモテって、どんだけ恵まれた人生なんだと思っていました。しかし、こうやって60代が目の前に近づいてくると、どうもロマンスグレーというのはそれをキープするのが大変そうだし、思ったよりも我慢することが多くて楽しくないかもと感じています。
それに比べて不良ジジイの自由なこと。好き勝手やって遊んでばかりいるんですからストレスも少ないでしょうし、友達も多そうです。ただ実はロマンスグレーが一定の型を守れば近づけるのに対して、不良ジジイは型があるようでないので、より難易度が高いということもわかってきました。間違ったロマンスグレーは単なる気障なおじいさんですが、間違った不良ジジイは迷惑な老害です。その境界線をいかにうまく生きるかというのは、完全に本人のセンスの問題です。
いよいよ60代になろうとしていますが、ロマンスグレーでも不良ジジイでもない普通の老人へ着々と向かっています。周りに極力迷惑をかけないで紳士的に、でも好きなことを我慢しないで楽しんでいる普通の60代を目指すことにします。女性にモテないし友達も大して多くありませんが、元気と笑顔があれば十分でしょう。