「文書10 第4回周恩来・キッシンジャー会談」(昭和46・1971年10月22日)。
周恩来総理 我々は日本と敵対したくありません。平和と友好とを望んでいます。
キッシンジャー博士 総理が意味する「平和と友好」の政策とはどういうことでしょうか?
周恩来総理 ええ、それは台湾当局を承認せず、中華人民共和国のみを承認するということ、対外的膨張の両翼として、台湾と朝鮮半島に対する野望を放棄すること、中華人民共和国の領土保全を尊重することです。
(本書195頁)
本日「楠田実編『佐藤政権・2797日』上下から」の続き。
つまり、①中華人民共和国のみを承認しないこと、②中華民国の存在を存在として認めて従来通りの関係を続けること、②韓国と国交を正常化すること、③米国から沖縄を返還されること、④日米安保条約を継続することが、周恩来(あるいは当時の中国政府)の言う、「日本軍国主義」の定義だった。
馬鹿らしい、としか少なくとも今となっては言いようがない。おそらくは当時の中国の国内政治状況上の必要(保身も含めて)から、こんな露骨に手前勝手でその上低能な建前論――中国語でいえば「原則」――を、大まじめに主張しなければならなかった周恩来も気の毒に。安保を破棄したらその結果は日本の再軍備ではないか。同じ会談の中で日米安保条約「ビンの蓋」論を持ち出したあたりに、周の本音がちらりと窺えないか?
(岩波書店 2004年2月)
周恩来総理 我々は日本と敵対したくありません。平和と友好とを望んでいます。
キッシンジャー博士 総理が意味する「平和と友好」の政策とはどういうことでしょうか?
周恩来総理 ええ、それは台湾当局を承認せず、中華人民共和国のみを承認するということ、対外的膨張の両翼として、台湾と朝鮮半島に対する野望を放棄すること、中華人民共和国の領土保全を尊重することです。
(本書195頁)
本日「楠田実編『佐藤政権・2797日』上下から」の続き。
つまり、①中華人民共和国のみを承認しないこと、②中華民国の存在を存在として認めて従来通りの関係を続けること、②韓国と国交を正常化すること、③米国から沖縄を返還されること、④日米安保条約を継続することが、周恩来(あるいは当時の中国政府)の言う、「日本軍国主義」の定義だった。
馬鹿らしい、としか少なくとも今となっては言いようがない。おそらくは当時の中国の国内政治状況上の必要(保身も含めて)から、こんな露骨に手前勝手でその上低能な建前論――中国語でいえば「原則」――を、大まじめに主張しなければならなかった周恩来も気の毒に。安保を破棄したらその結果は日本の再軍備ではないか。同じ会談の中で日米安保条約「ビンの蓋」論を持ち出したあたりに、周の本音がちらりと窺えないか?
(岩波書店 2004年2月)