書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

石上英一編 『日本の時代史』 30 「歴史と素材」

2006年04月19日 | 日本史
 2003年12月4日以来、ほぼ2年半をかけて全巻読破。
 やった!

(吉川弘文館 2004年11月)

▲「人民網日本語版」2006年4月18日、「日本の対中投資、過去最高の65億ドル超に 05年」
 →http://j1.peopledaily.com.cn/2006/04/18/jp20060418_59056.html
 “政冷経熱”結構。そもそも中国政府は、はなからそのつもりなのだから。
 これ以上関係を悪化させないようにすることこそが肝要なのである。

今週のコメントしない本

2006年04月15日 | 
 前回8日に予告したとおり、少々模様替えしました。
 
①感想を書くには目下こちらの知識と能力が不足している本
  梶村昇編 『アジア人のみた霊魂の行方』 (大東出版社 1995年3月)

②読んですぐ感想をまとめようとすべきでないと思える本
  武田泰淳 『政治家の文章』 (岩波書店 1998年2月第16刷)

  成田美名子 『花よりも花の如く』 4 (白泉社 2006年4月)

  石原莞爾 『最終戦争論・戦争史大観』 (中央公論社 1997年5月6版)

③面白すぎて冷静な感想をまとめられない本
  川崎桃太 『フロイスの見た戦国日本』 (中央公論新社 2003年2月) 

  大久保利謙 『大久保利謙歴史著作集』 8 「明治維新の人物像」 (吉川弘文館 1989年1月) ←祝全巻読了!

  板倉聖宣 『かわりだねの科学者たち』 (仮説社 1988年2月初版2刷) (再読)
  
④参考文献なのでとくに感想はない本
  坂本太郎 『六国史』 (吉川弘文館 1994年12月新装版第1刷)

  林玲子編 『日本の近世』 5 「商人の活動」 (中央公論社 1992年3月)

  林屋辰三郎/加藤英俊/CDI編 『京都庶民生活史』 全3巻 (講談社 1974年12月―1975年2月)

  上田信 『伝統中国 〈盆地〉〈宗族〉にみる明清時代』 (講談社 1995年1月)
  朱恵良著 筒井茂徳/蔡敦達訳 『中国人の生活と文化』 (二玄社 1997年9月3刷) (再読)
  ジェイムズ・L・ワトソン/エヴリン・S・ロウスキ編 西脇常記/神田一世/長尾佳代子訳 『中国の死の儀礼』 (平凡社 1994年11月)

  川喜多二郎 『素朴と文明』 (講談社学術文庫版 1989年4月)
  富永健一 『近代化の理論 近代化における西洋と東洋』 (講談社 1996年1月)

  岸田国士 『時・處・人』 (人文書院 1941年2月再版) 
  潮木守一 『京都帝国大学の挑戦』 (講談社学術文庫版 1997年12月第2刷)
  藤井康栄 『松本清張の残像』 (文藝春秋 2002年12月)

  朝日新聞戦後補償問題取材班 『戦後補償とは何か』 (朝日新聞社 1999年9月)
  藤田久一 『戦争犯罪とは何か』 (岩波書店 1996年1月第2刷)

  読売新聞ソ連取材班 『内側から見たペレストロイカ ソ連70年目の真実』 (読売新聞社 1988年3月)
  佐瀬昌盛/木村汎編著 『ゴルバチョフ革命 ペレストロイカの挑戦と障害の分析』 (サイマル出版会 1988年2月)

⑤ただただ楽しんで読んだ本
 ヘレーン・ハンフ編著 江藤淳訳 『チャリング・クロス街84番地 書物を愛する人のための本』 (中央公論社中公文庫版 1984年12月5刷)

 しばらくこれで様子を見てみましょう。

松本清張 『昭和史発掘』 1

2006年04月13日 | 日本史
 藤井康栄『松本清張の残像』(→2003年1月14日)で言及して以来、やっと全巻読破に取りかかる。我ながら愚鈍なり。
 第1巻の内容は、
  「陸軍機密費問題」
  「石田検事の怪死」
  「朴烈大逆事件」
 の3本。
 この度は『松本清張の残像』中、「『昭和史発掘』覚書」を手引きにしつつ。

“そんなある日、社に怪電話がかかってきた。松本清張の担当を出せと言っているというので、受話器を取った。沈んだ男の声がいきなり「月夜の晩ばかりではないぞ」と耳に響いて切れた。(略)「そうか、石田(基)検事をやった人間はまだ生きているのか」と胸が騒いだ” (藤井康栄『松本清張の残像』、文藝春秋、2002年12月、「『昭和史発掘』覚書」、同書93-94頁)

(文藝春秋 1982年9月第9刷)

費孝通ほか 『中華民族多元一体格局』

2006年04月12日 | 政治
 中華民族とは複数の民族であり、同時に一民族でもある。
 「Aかつ非Aである」、「Aまたは非A」でない。つまり矛盾律と排中律が通用しない。そのうえ同一律も怪しい。
 通常の論理原則を以てはかろうとするこちらが間違っているのだろうか。阿弥陀如来の在ます極楽浄土の如く、「有る・無い」という相対的な世界ではなくて、その一つ上の次元にある絶対的な「有る」の世界の話なのかもしれない。

(北京 中央民族学院出版社 1989年7月)

J. K. ローリング著 松岡佑子訳 『ハリー・ポッターと賢者の石』

2006年04月10日 | 文学
 今頃、読んでいます。
 映画のほうを先に観た。だから例えば187頁6行目の「ねっとりした黒髪、鉤鼻、土気色の顔をした」という、スネイプ先生の風采を形容するくだりを読んで思い浮かぶのは直ちにアラン・リックマンのあの顔であって、それ以外の何物でもない(これは本当は、映画が原作通りに作られているということで、感想として逆立ちしているのだが。ちなみに映画のハーマイオニーもスネイプ先生同様、性格的にも視覚的にも原作から受けるイメージそのままのキャラクターだと思う)。
 しかしである。何が起こりどうなるのかを知っていても、この本は私を夢中にさせた。原作のハリーは映画より鼻っ柱が強く、ロンは映画よりも頼もしく、ドラコ・マルフォイは映画よりもずっと性格が悪いのだから。

(静山社 2000年9月初版第77刷)

今週のコメントしない本

2006年04月08日 | 
 先週は失礼しました。「日本人のくせに支那を中国と呼ぶのはけしからん。左翼だ」という批判に、ダルくなってさぼりました。

①感想を書くには目下こちらの知識と能力が不足している本
  井上勲編 『日本の時代史』 29 「日本史の環境」 (吉川弘文館 2004年10月)

②読んですぐ感想をまとめようとすべきでないと思える本
  大野晋 『語学と文学の間』 (岩波書店 2006年2月)

  松崎三千蔵 『イラク戦争と「人間の盾」 新たな平和運動をめざして』 (NCコミュニケーションズ 2003年12月)

  鶴見俊輔対談、編集 『語りつぐ戦後史』 上 (講談社 1975年8月)

  外務省 『日中関係に関する意識調査』 (2006年2月)
   →http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/yoron05/index.html

  外務省 『日米安全保障体制に関する意識調査』 (2006年2月)
   →http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/chosa05/index.html

③面白すぎて冷静な感想をまとめられない本
  森山尚美/ピーター・ウエッツラー著 『ゆがめられた昭和天皇像 欧米と日本の誤解と誤訳』 (原書房 2006年2月)

  酒井亨 『台湾 したたかな隣人』 (集英社 2006年2月) 

  中村吉宏 『チベット語になった「坊ちゃん」 中国・青海省 草原に播かれた日本語の種』 (山と渓谷社 2005年12月)

④つまらなさすぎて感想も出てこない本
  該当作なし

⑤出来が粗末で感想の持ちようがない本
  該当作なし  

⑥余りに愚劣でわざわざ感想を書くのは時間の無駄と思ってしまう本
  該当作なし  
  
⑦本人にも分からない何かの理由で感想を書く気にならない本 
  該当作なし  

 このコーナーをちょっと模様替えしようかと考えています。早い話が「著作としてのインパクトが弱くてとくに感想が浮かんでこない本」とか、「参考文献として目を通す必要があっただけでべつに感想を持つ必要のない本」とかを入れるところがありません。

▲心覚えのメモ。
「池田信夫 blog」2006年4月7日、「活字文化があぶない」
 →http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/d/20060407

ジョン・W・ダワー著 斎藤元一訳 『人種偏見 太平洋戦争に見る日米摩擦の底流』

2006年04月07日 | 人文科学
 先の大戦中に、双方が抱いていた他民族・他人種への偏見と憎悪、およびそれらに基づく具体的な差別・蔑視・残虐行為についての研究である。
 人間というものが時と場合によってどれほど愚かしくなりえるかをいやというほど思い知ることができる。

(TBSブリタニカ 1987年11月初版第2刷)