書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

杜甫 「重過何氏五首 其二」

2015年03月04日 | 文学
 山雨尊仍在,
 沙沈榻未移。
 犬迎曾宿客,
 鴉護落巢兒。
 雲薄翠微寺,
 天清黃子陂。
 向來幽興極,
 步屣過東籬。

 最終句、「步屣過東籬 步屣 東籬を過ぐ」についてだが、過ぎるのは步屣(履き物を履いた足または脚)か、それともそこから派生してそれを履いた人そのものを意味するか。
 「步屣」には「歩くこと」という抽象的な意味もある。しかし屣が元来「はきもの」という具体的な事物を指す語である以上、あきらかにこちらのほうはさらに後から発生した意味である。
 この一句に関し、杜甫の脳裏にあったのはどのような情景だったのだろう。そして彼はどのようなイメージを読む者に伝えようとしたのだろうか。