書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

稲田正次 『明治憲法成立史の研究』

2008年03月21日 | 日本史
 中江兆民が明治7(1874)年に訳した『民約論』は、「何カ政府ヨリ談ジラレ、鼻ヲ拭ウテ捨テタ」わけではないらしい。さもなければ兆民の朱筆入り原稿が弘文荘の反町茂雄の手に入るはずはなく、そして反町から原稿を購入した筆者によって、全文が写真つきで本書の冒頭を飾ることもまたなかったであろう。

(有斐閣 1979年4月)