近頃ゴーヤチャンプルを毎日作って食べている。肉は、豚肉(挽き肉もふくめ)は、当たり前すぎるので、別のものをいろいろ試している。海老はまあまあ。げそは普通にうまい(『大使閣下の料理人』の沖縄編で見た)。アサリは適度にうまみが出て、かなりいい。牛肉と牛筋はそれだけで味を主張するのでちょっとあわない。鶏肉はちょっと淡泊すぎるか。鶏皮は少しにおうときがある。タコとコンビーフはまだ試していない。
ときに、奄美のゴーヤチャンプルはとき玉子を使わないらしい。すくなくともこの本のレシピではそうなっている。沖縄式のゴーヤチャンプルを作るときでも玉子なしでやってみたことがあるが、それはそれで素材と味付け(シママースと細かい鰹節)がストレートに味わえておいしかった。言ってみればすき焼きをとき玉子につけて食べるかそのまま食べるかの差である。そういえば私は子供のころからとき玉子なしにすき焼きを食べる人間だった。
話を元に戻すと、奄美のゴーヤチャンプルは、乾燥シイタケを入れる。なんだか
元ちとせさんの『なだそうそう』のようである。ただし油にラードを使う。また豆腐を布でしぼって使うという。写真をみてもおからのようにぼろぼろになっている。では最初からおからでもよいではないかと考えて、おからで作ってみた。だがいつもどおりサラダ油でやってみたところ、おからがぱさぱさになってしまった。まるで乾燥したパルメザンチーズである。具となじまない。それでこんどはラードをつかってみた。すこしはましになったが、それほど乾燥していないパルメザンチーズというくらいのものである。水でしめらせると調理の際にはねて厄介だ。油をもっとふやせばよいのだろうがそれは健康上おもしろくない。つまりおからはつかわないほうがいいという結論が出た。やはり豆腐だが、木綿の水をよくぬくか、あるいは焼き豆腐もよろしかろう。おからの残りは何かの煮物に使います。
・・・・・・というふうに、いろいろ楽しめる本である。
(南方新社 新版 1999年7月)