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http://www.youtube.com/watch?v=ze3dRODgAiA&NR=1〉
映画『スタートレック』シリーズのなかで好演といえば
前述『カーンの逆襲』(1982年)のリカルド・モンタルバンだが、怪演といえばまず第一に『ミスター・スポックを探せ!』(1984年)のこの人、クリストファー・ロイドだろう。のちには名こそ惜しけれ、自らの誇りにかけて卑怯なことは死んでもしないというサムライ・スピリットの権化のような民族性を備えるようになるクリンゴン人だが、この映画ではいまだ冷戦時代だった当時の世相を反映して、半アジアの野蛮な軍事国家、すなわちソ連を彷彿させる、『宇宙大作戦』以来そのままの設定が生きている。だから残忍狡猾、目的達成のためには手段を選ばず、平気で人質を取り、それをかたに脅しをかけたりする。
なにより、クリンゴン艦長の顔がレーニンそっくりなところに制作陣の悪意を感じる。当時、やはりこの映画を観たジャーナリスト志望の後輩(のち実際にジャーナリストになった)と、その点を指して腹を抱えて笑ったものであった。