goo blog サービス終了のお知らせ 

書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

二ノ宮知子 『のだめカンタービレ』 24

2010年04月27日 | コミック
 番外編といっても、田村由美『BASARA』の番外編と同じように、作品世界の円満な完結のための付けたりや単なる落ち穂拾いではない。本編とおなじくらいに力がはいった構造と展開になっているのは、もともとこの漫画が野田恵(と千秋真一)の物語ではなく、“のだめ”たちの群像劇だったからか。

(講談社 2010年4月)

西村ミツル原作 かわすみひろし漫画 『大使閣下の料理人』 17

2010年04月26日 | コミック
 本物のフレンチシェフならそれがたとえ卵をご飯にぶっかけたものでもフランス料理になる

 上村信蔵のこの言葉は、やはり名言である。
 この言葉に出合うたびに思うのだが、これは、私の仕事である翻訳にも通じる金言ではあるまいか。
 料理人も、翻訳者も、技術者である。職人である。この点で共通する職業だ。
 この名言を吐く直前、上村は、言う。

 ちょっとした才能があれば本物のフランス料理は作れる/だが本物のフレンチシェフになるために必要なのは才能じゃない/気の遠くなるような歳月をかけて古典的レシピを繰り返し作ることなんだ

 さらにその前には、器用すぎる(つまり才能のありすぎる)シェフは、ともすれば古典的な味に安住しないで自分独自の味をもとめるようになる、そしてそのうち壁にぶつかって自滅するという言葉がある。
 これを翻訳者流に引き寄せて解釈すれば、外国語をあやつったり、それを日本語に訳したり、あるいは日本語をその外国語に訳したりすることは、語学の才能があればさして困難なわざではない、しかし精密な文法と当該外国語翻訳の歴史についての知識、さらには先人達が積みかさねてきた翻訳上のテクニックや共通の了解事(陳腐なものも含めて)についての会得もしくは少なくともそれについての了解、それらを踏まえることなしに、己の直観と限られた知見経験のみに頼っていては、やがては限界が来るということであろう。ひとことでいえば、ひとりよがりの行く道はいずれ行き止まりになるということである。伝統と定石に囚われていてはその奴隷であるにすぎないが、それらをおのが手駒として使いこなし相手をこそおのれの奴隷とすることなしには自分の個性も見いだせないし真の自由も手に入れることはできないということであろう。
  
(講談社 2003年9月)

西村ミツル原作 かわすみひろし漫画 『大使閣下の料理人』 15

2010年04月25日 | コミック
 息子達に手料理を食べさせてやりたくて、近頃50の手習いで料理を始めている。その縁でまた読み直し始めたもの。
 アニメ化かラジオドラマ化されているのかどうかは知らない。しかしこの巻の主人公と相田先輩のやりとりを眺めていて、自分なりに登場人物たちの声の出演は誰がいいかを考えてみる気になった。

 大沢公・・・・・・田中秀幸さん、あるいは宮本充さん
 相田・・・・・・大塚明夫さん

 なんか定番ぽいけど。
 それでもって、以下。
 
 大沢ひとみ・・・・・・戸田恵子さん

 これも定番ぽい?

 大沢かおり・・・・・・柊瑠美さん

 アニメーションのローティーンの女の子の子役の声って、この人ぐらいしか思いつかないんだよね。

 大沢巧・・・・・・大塚周夫さん

 うわー定番。

 忠さん・・・・・・樋浦勉さん、あるいは玄田哲章さん

 玄田さんも定番に近し。
 さあめげずにどんどん行ってみよう。

 江口悟・・・・・・平田広明さん
 青柳愛・・・・・・玉井夕海さん
 北島萌・・・・・・高山みなみさん
 倉木洋子・・・・・・麻上洋子さん
 古田誠一・・・・・・古谷徹さん
 ロック大統領・・・・・・納谷悟朗さん

 最後にこの二人。ちょっと、むずかしい。

 ミン・ホア・・・・・・坂本洋子さん

 倉木和也・・・・・・納谷六朗さん

(講談社 2003年2月)

山下和美 『天才 柳沢教授の生活』 28

2009年10月16日 | コミック
 10代の終わり、外国語大学でロシア語を学んでいたころ、あるソ連研究者(日本人)に、共産革命が必然なのならべつに運動する必要はないのではないですかとたずねたら、プレハーノフの『歴史における個人の役割』を読めばわかるといわれた。20代の半ば、東洋史を学ぶために別の大学に入り直した頃、ある中国史研究者(日本人)に、中国の家族制度について知りたいのですがとたずねたら、エンゲルスの『家族、私有財産、及び国家の起源』にすべて書いてあるといわれた。どちらも、エネルギッシュだったが、自分の「なぜ」がない人だった。
 第197話「月と機関車」を読んで想い出した。ソ連が崩壊し、中国で天安門事件があったあと、あのひとたちはどうしただろう。

(講談社 2009年9月)

二ノ宮知子 『のだめカンタービレ』 #0 「キャラクターBook」

2007年09月22日 | コミック
 好きな登場人物ベスト3。

  第1位 千秋真一
  第2位 黒木泰則
  第3位 黒木泰則
 ちなみに
  第4位 黒木泰則
 
 ・79ページの中村智仁、沙悟浄というよりバルカン人。それとももしかしてロミュラン人?
 ・87ページの中村みどり、張りの失せた両のマナコより出ずる視線の怖わや怖わや。

(講談社 2006年11月第8刷)

9月23日付記。
  第5位 ポール・デュボワ

田村由美 『7 SEEDS』 11

2007年09月22日 | コミック
 第1巻から通して読んで、好きな登場人物を一人選んでみる。
 荒巻鷹弘。

(小学館 2007年8月)

追記。124-125頁の冷凍庫の中で氷柱と化したシェルター住人の図を眺めていて、一番奥に、唱っている姿のままで氷結した神酒マリアとハーモニカを吹く各務頼一がいることに気が付いた。恐い。