自分の目玉では自分自身は見えません。
私たちは一生かかってつむぐ自分の小さな世界しか
知らないで死んでゆきます。
鏡には映ります。でも左右が反対。
もう一枚使えば左右は直ります。それでもやはり像。
実物とは違います。
テレビで見るより実物に逢いにいきますよね。
○
そうはいっても像が実物の複写であると認識できる
能力は人間の得意とするところです。
大脳のオカゲで写真に写っているヘンなオヤジが自分
であると分かります。
ヘンと認めたくなくても。
ニャンコには出来ない芸当ですよね。
写真を見せ「ほらお前だよ」と言っても分からない。
姉妹を連れて実物と写真を並べ「同じでしょう?」
と見せても分からない・・
写真だけでなく人間はもっと色々考え想像できます。
日本のワンコに熱帯雨林の問題は分かりませんよね。
◎
上記写真は昭和45年新潮文庫『黒い雨』です。
写真は初版本で定価140円でした。
カバーの絵は亡き香月泰男。
盗作ウンヌンはありましたが井伏鱒二の筆力もさすが
でインパクトがある作品、皆さんご存知ですよね。
本を読むことも想像力ですが、この本はもう一歩
進めてみてはどうでしょう。
本を片手に宇品から国泰寺、横川まで歩きます。
ちょっと遠いか?
歩きながら当時を頭に浮かべるのです。
今目の前にある平和な町が一瞬にして燃え上がるのを
想像するのです。
『いまもなほ八月六日乱反射』
その意味で
「被爆者が描いた原爆の絵を街角に返す会」の活動は
たいへんに意義があることです。