黒い雨が見えますか?

2008-06-25 22:14:20 | 塾あれこれ

自分の目玉では自分自身は見えません。
私たちは一生かかってつむぐ自分の小さな世界しか
知らないで死んでゆきます。

鏡には映ります。でも左右が反対。
もう一枚使えば左右は直ります。それでもやはり像。
実物とは違います。
テレビで見るより実物に逢いにいきますよね。


そうはいっても像が実物の複写であると認識できる
能力は人間の得意とするところです。

大脳のオカゲで写真に写っているヘンなオヤジが自分
であると分かります。
ヘンと認めたくなくても。

ニャンコには出来ない芸当ですよね。
写真を見せ「ほらお前だよ」と言っても分からない。

姉妹を連れて実物と写真を並べ「同じでしょう?」
と見せても分からない・・

写真だけでなく人間はもっと色々考え想像できます。
日本のワンコに熱帯雨林の問題は分かりませんよね。


上記写真は昭和45年新潮文庫『黒い雨』です。
写真は初版本で定価140円でした。
カバーの絵は亡き香月泰男。

盗作ウンヌンはありましたが井伏鱒二の筆力もさすが
でインパクトがある作品、皆さんご存知ですよね。

本を読むことも想像力ですが、この本はもう一歩
進めてみてはどうでしょう。

本を片手に宇品から国泰寺、横川まで歩きます。
ちょっと遠いか?

歩きながら当時を頭に浮かべるのです。
今目の前にある平和な町が一瞬にして燃え上がるのを
想像するのです。

『いまもなほ八月六日乱反射』

その意味で
「被爆者が描いた原爆の絵を街角に返す会」の活動は
たいへんに意義があることです。