白銀・南票 2

2009-12-29 | 海外蒸機
2月12日


7:27 専用線站へ行きます。
白銀市内の専用線站から2本相次いで発車する旅客列車のうち途中駅まで行く先発列車を撮ってから奥に入る作戦を考えましたが、明るくなってから確認した站周辺の様子から見て画になりそうな感じがしないので、諦めて奥へ向かう事にします。
左が途中まで行く列車です。
右は奥まで走る我々が言う「朝一」の列車で、機関車がまだついていません。


8:12 道路から見て「此処かな?」と思った辺りへ登り、線路傍で待つとすぐに朝一の列車がやってきました。
(途中までは先行区間列車があるようですから朝一とは言えないかもしれませんが)
風が強く、デカビデオは諦めて小さなビデオとスチルだけで撮影しました。
風が強いというのは蒸機撮影には致命的です。
大陸での撮影の場合、時に日本国内の撮影では全く想像ができない強さの風が吹きます。
日本で強い風といえば台風ですが、数秒~十数秒置きに強弱を繰り返すものです。
大陸の強風は数分置きに強弱を繰り返し、一度強風が始まれば半日続きます。埃を交えて吹くためカメラ機材は曝すことはできません。
誠に前途多難な始まりでした。


8:40 奥の鉱山へ鉱山労働者を届けた列車は帰ってきます。
迎え撃つために思い思いのポジションをとります。
私は小さな丘に登り、奥井&雄太君は線路傍を選びました。
右下に見えるのは私のチビビデオパナソニックのSD-5です。


9:17 返しの列車が下り込んできました。


9:32 道路へ降りて一旦車に戻って打ち合わせをします。
近くの鉄道施設(站など)で朝一に続行で上がることが多いとの情報もある貨物列車の運転状況を車で聞きに行ってもらうことにします。


10:38 一番よさそうな尾根はあすの朝一に取っておくことにして、ひとつ山奥寄りの尾根に取り付いて万一の貨物列車来襲に備えます。
しかし来る気配がないので奥のカーブの向こう側がどんな景色になっているかロケハンしに行くことにします。
去る前にどんな景色だったか記録してから移動します。


10:56 カーブを抜けて進むとこういう景色でした。更にこの500m先が站になっていました。 (崩れかけたホームがある以外何もない無人站です)
そこで車(と車さん)と合流しました。
午前中に貨物列車の予定はないとのこと、朝ごはん(カップ麺)は町に近い公司站に行ってお湯を貰って食べることにします。
公司站が確かな情報を得られそうな場所であることも判りました。


11:34 公司站にやってきました。 (公司とは会社のことです)
車でホームに乗り入れて駅舎に乗り付けた姿です。


駅舎は鉄道の本社という感じでした。廊下を行くと整備中の信号機を置いた部屋がありました。


鉄道職員が休憩する部屋が我々の朝食場所です。
しかし、仕事もしているようにも見えますが・・・


そんな事には委細構わずカップ麺の準備を始める車さん。


壁面には表彰の履歴が貼り出されています。


ライオン印の魚肉ソーセージはカップ麺の友、鉄の味方です。


康師傅(カンシーフー)の紅焼牛肉面
日本のカップ麺を模してつくられたことは間違いありません、中国で唯一麺とスープのバランスがよい麺はこれらのカップ麺だけのように思います。
中国の麺類は例外なくどんぶりに「これでもか」と麺を入れてありスープが少なくて美味しくありません。
インスタントのカップ麺だけがバランスが取ってあります。
日本のカップ麺より味が濃く、こってりしていて少し辛いです。
もっと辛い「辛口」 (最近は黄色いパッケージでしたっけ?)もあります。
日本に持ち帰って日本の環境で食べた人がいます。
美味しくなかったそうです。
現地では誠に美味しく感じます。
これで食事を済ます事によって中国での蒸機撮影時間が確保できるようになりました。
それまでは食堂がある所(多くの場合=街)に戻る時間×2+食事時間によって削られていたのです。
どれほど助かったかわかりません。
(我々は「抜き」など平気ですが、運転手・ガイドはなかなかそういうわけにいきません)

我々は食事をするために中国に来たのではありません。
蒸汽機関車の撮影のため一年間働き、このわずか数日の撮影に己の存在を賭けているのです。



建物の外には上游が停まっています。乗務員は建物で休んでいる感じです。


11:56 もう一台、入換作業中だった上游も停車しました。昼食の時間なのでしょう。
(我々が食べたのは朝食です)


SY0819
前期型の上游です。テンダー台車はアーチバータイプ、戦前から続く満鉄蒸機の血統を感じます。IMON製品の上游はこの形です。


SY1583
後期型の上游です。テンダー台車は1950年台の解放型(ミカイ)で使われた形状の新しい方の形式です。満鉄末期のロングテンダー機に使われたものの流れです。

「ロングテンダー」満鉄ミカイ1580(ミカコとして落成後ミカイ編入)
上游は満鉄ミカロ(ミカドのろくばんめの型式)の中国生産バージョンです。満鉄ミカドはALCOスケネクタディー製輸入機を日本人がコピーしたもの、その工場の在った場所が中国領になったから「中国製」機関車です

ミカロの極初期はドームが煙突から等間隔に並んでいましたが、すぐに現在の上游のように二つのドームが接近したC54のような姿になりました。
バックマンの上游は最初のミカロの図面を使ったのか上游の特徴である接近したドームになっていません。エラーというレベルにも達していません。タイプとも言えないかもしれませんね。


2台の上游
初期型の819と後期型の1583ではカウキャッチャーの形状が大きく違います。
IMON製品の上游は上游独特と言えるカウキャッチャーを持つ前期型です。 (左奥の機関車)
バックマンの上游は前進や建設でも同形がある後期型のカウキャッチャーです。 (中央の機関車)
右に並ぶのはタキ5450? いや硫酸の貨車のようです。


13:45 貨物列車が走るということなので急いで山に入り先程登った場所より2km手前あたりで線路に取り付き、この場所にカメラをセットしました。

しかしなかなか来ません。
風は弱くなってきており、デカビデオは初登場です。
それでも風は強く、じっとしていると耐えられない寒さです。

14:53 ついにやってきました。

完全燃焼!

安全弁も吹いています。

朝の列車が強風でむちゃくちゃになりながらの撮影でしたので、今回旅行の初めての撮影という気分です。

さて
夕方の客車列車の時間が近づいてきました。
鉱山の奥へ向かってロケハンしながら歩きます。
しかし、大きな左カーブを左側の山に沿って曲がっていくと、朝撮った大きな右カーブへ続いていました。
奥井&Jrはそのまま前進することになり、私は戻って左カーブの始まって80mほど、山が迫って来た辺りへ足場を定めることにしました。

実は鈴屋さんが1か月半前に撮った場所を探していたのですが、見つけられませんでした。

15:43 夕方一番列車
結果こういう写真になりました。

眼前を機関車が通過!機関車番号はSY2008
2008年の北京オリンピックを記念してつけた番号と思われます。
1999年製造の最新の上游がSY170*ですからあり得ない番号です。
いろいろなカメラ機材の配置ぶりが判ります。
ガイドの車さんのビデオも1台据え付けてあります。


16:02 奥井親子の居る山方向へ登っていくと、旅客列車と入れ替わりに降りてきた貨物列車が落ちてきました。


貨物列車の後姿と車さんの後姿です。 


16:24 間もなく客車列車も落ちてくるのでアウトカーブでやり過ごします。
商店で買ったこういうときの為のおやつです。 (昼ごはんじゃありません)


16:44 ペットボトルに入ったシーバスリーガルです。
去年の修学旅行で途中まで飲んだボトルでしたのでなくなりました。
(おかわりはポケットの中に入っています)
これは成田の免税店で買います。¥1700~¥1800です。日本国内では売っていません、もちろん中国でも、中国撮影行きの必需品です。
(水は凍ります、蒸留酒は凍りません)
向こうに見える山の斜面はカレー味でしょうか・・・


17:12 下り込みがやってきました。


17:24 カレー味の部分がどうなっているか確認に行きました。


17:27 道路へ戻る途上にはこの飛び石を渡る行程があります。


17:45 奥井親子が車のところへ帰ってきました。


18:08 夕方二本目を撮る場所を考えながら白銀市街・公司駅方向へ降りてきました。
国鉄線が鉱務局専用線と川をオーバークロスする地点の国鉄線築堤上に登ってみます。
イマイチという評価に決して再び山へ戻り、三鉱駅と思われる地点が勾配の途中になっていそうな気がするのでその発車を狙ってみることにします。


18:40 夕方二番列車、三鉱を発車!
双鴨山鉱務局専用線の東井駅発車を彷彿させる素晴らしい発車です。
夕方になって遂に苦労が報われる映像をモノにできました。

最初のブラスト音がバッ!っと鳴った瞬間、その音の大きさはこういう事に慣れている私の想像すら絶する大音声でびっくりしました。

空転するかしないかぎりぎりでの激しいブラスト、時折空転!

かなり暗かったので撮影条件は実に厳しいです。

なかなか速度は上がっていきません。


19:12 白銀市に戻って給油です。
この「給油」が撮影に支障のない時間にできているかどうかが実に重要です。


19:55 白銀市内の専用線站に戻ってきました。
山から逆向きで降りてきた上游が機回し中です。


まずは踏切を越えて本線上を少し行きすぎます。


20:02 夕方3番列車が発車しました。
昨日はこの発車に出くわしたわけです。


20:28 ホテルに帰りつきました。


20:54 夕食目指して道を聞きながら進みます。
中国で道を聞くときは、できれば20人から聞くのが宜しいです。
知らなくても知っているかのようにちゃんと教えてくれるからです。


21:03 KFCを発見、日本との違いを確認するため少し買ってみます。
(明日の朝食もこれで行けそうですね)


21:30 こういうところへ行ってみます。
常にこういうところを狙いますが、16年前蘭州でこのような店に入って美味しかった事の再現を狙っています。
此処白銀は寧夏回族(ニンシア・ホイ族)自治区のすぐそばですのでホイ族の店を目指します。


この親父さんの店(彼の背後の方にあります)に決めました。


お店の外観です。
串焼きは表の屋台で親父さんが焼きます。
「清真」とはイスラム教教義に則り豚肉を使っていないことを表します。


21:33 広くてなかなか清潔なお店です。
家族が中心の従業員は全て回族です。回(ホイ)族とは回教徒であることも表しています。


21:37 羊肉串が焼けてきました。串は自転車のスポークであることも多いとか。


21:51 カウンターのかわいいお嬢さんは娘さんで嫁いだばかりだそうです。
しかし毎日実家の食堂の手伝いに来ているとのことです。


22:41 外の露店で果物を買い、ビタミンの補給をして帰ります。

明日の無風を祈って眠りに就きます。