明日12月19日 国内組立によるC5552が発売されます。
C55は「非乗工社のIMON製品」として乗工社が健在だった1999年秋頃から打ち合わせが始まった製品です。
普通であれば韓国での商品開発は1年間と云われていましたが、その倍、2年以上の歳月を経て2002年1月に発売された製品です。
(当時乗工社に対しては1/87のC51が発注されて居ました。競作を考えていたのです)
C55発売時点では下請け企業を含めた乗工社スタッフはIMONスタッフとなって居り、その中の「組屋さん」から「我々が組めばもっと良いモノが出来る」という訴えがありました。
「では、やってみますか?」
という
「売り言葉に買い言葉」から始まったのが今回発売の国内組立のC55です。
ちょうどこの時キットと一部の完成品が不足してお客様から批判されていましたので増産のついでに将来の国内組立用に部品も作っておくことになりました。
2003年1月から発売開始した16番C55では、宮代のアイデアでヘッドライトと煙室前面を一体ロストで作る方法によって前照灯内に仕込んだ1.5V球の配線を露出させずに煙室に導くように改良しましたので、国内組立用1/87煙室前面も同じように一体ロストを開発することとしました。
もともとコンプレッサーや給水ポンプなど、雰囲気が出ないと致命的な主要部品34種類は日本から供給していました。目的は品質保持と、余分に作って直接中古市場などに流す韓国製造のよくある事件を防ごうという作戦です。
ですから、IMON韓国製品が例えば銀座レモン社に現れたとすると、ごく僅かな日本製スペアパーツを使った1~2台か、ロストパーツを原形に使って複製した質の落ちるロストを使ったものしかあり得ないわけです。
これが2年間の「苦しい苦しい」打ち合わせの記録の一部です。
ダブっている内容のモノは極力捨ててなお厚さ15cmの箱がはち切れそうです。
韓国KwangMyungモデルとIMONの間を往復していたFAXや図面は他にも有ります。
久しぶりに中身を見てみます。
韓国から図面が来て、日本から修正依頼が行き、直した図面、修正内容が気に入らず別の方法で修正指示・・・・という「FAXの繰り返し」が中心です。
綴じられた図面も有ります。
フェニックス荻原道信さんに貴重な保存機写真も多数提供して頂きました。
C5552は吉松時代も前部暖房管がありましたが、保存機は鹿児島時代の姿で取り外されています。
私からは絵を描いて送り、先方からは図面が来るというパターンが多かったようです。
ボイラーは3ピース構造でテーパーを表現しています。
3ピースにすると、ボイラー継ぎ目の上にボイラーバンドを貼る事になります。 それに揃えて他のボイラーバンドも「貼り」にするとドームが浮き上がった様な拙い仕上げになりがちです。
このC55に於いてはエッチングを深くして、極力薄くした貼りボイラーバンドと厚みを合わせようとしています。
最後に先方から太いマジックで書いた返事が書き込まれている姿のようです。
日本の動輪スポークはロストまたはダイキャストですが、韓国ではドロップで作ります。ドロップで深く彫刻しておいて裏から挽き削って抜けたスポークにして行くのです。
左端1回目;スポークの位置がおかしいです。全て半本づつずれています。
中央2回目;其処を修正したらタイヤすぐ内側円周部分が分厚くなり、全体にぼってりです。
右端3回目;それを修正したモノです。
実際に使用しているのは4回目くらいのものだったような気もします。
クロスヘッドの見本。韓国で作るパーツとして動輪の次に重要です。
テンダー台車と先台車の見本です。日本のロストとやはり色が違う様に思います。
テンダー台車は機関車寄りの台車で、ドローバーを避けるため前端梁が有りません。
マクラバネが別パーツなのは、2連、3連のもの両方有ったため別に吹いて半田付けするようになっているからです。
これはIMON社内五反田工房へ送ったFAXのようです。
模型製造分野の人間が図面をチェックすれば安心です。
韓国は日本以上に下請け分業が進んでいます。
サムホンサやアジンのような別格の大きな会社はそうではなかったですが、現在では大きな会社はブラス業界に残っていませんので全社細かく分業されていると考えて良いのではないでしょうか。
⑳などの数字が書き込まれているのは、その部分について別紙で詳しく写真や変更指示が書かれているのです。
これは「(未塗装)試作品」が送られてきたのに対して注文を付けているFAXです。
機関車本体&テンダーそれぞれを上下左右から4枚、コピー機で撮影してそれに書き込んで韓国に送ります。
この辺りは私独特のお絵かきで配管を表現して指示を出しているモノです。
これはC55実物図面です。
もちろん模型制作をしていると、図面と実物はいかに違ってくるのか身をもって体験していますので「図面は一つの有力な参考物でしかない」事はよく判っております。
落書きだらけの図面の後で製品の写真を見ると少しほっとします。
日本製供給パーツの一つがここに見える掴み棒です。
これは細くてしなやかな挽物で、形も良く、きっちりテーパーも付いています。
日本国内でもなかなか真似が出来ない素晴らしいパーツだと思います。
モーターはファウルハーバー1717Sで、36:1に減速しています。
その辺りは韓国組立製品と同じです。
その組み上がりはどうか・・・・是非店頭でご確認下さい。