D51 1127 [滝]

2009-12-15 | 鉄道模型
現時点で最新仕上げの蒸機です。

煤による汚し無しでウェザリング仕上げに持って行く事を目指しました。

これら蒸機に関しては「もしかするとブログに上げるかもしれない」と考え、加工途中を写真に撮ったつもりなのですが、こうして書いてみると「からきし」撮って居なかった事が判明します。
模型工作は始まってしまうと熱が入って写真どころではなくなる事が今更ながら判ります。


下回りの塗装が始まりました。
車輪側面はタイヤまで五反田工房で黒塗装をして貰っています。
タイヤ部分側面が塗装されていない場合は、車輪を回転させながらマッハのシールプライマー等を筆塗りでタイヤ側面に塗ってから作業する事になります。

車輪側面の塗装方法はホンモノの企業秘密でお教えできません!


筆塗りが終わった所です。
溶剤はリターダシンナーですのでなかなか乾きませんが、お蔭で筆塗りでも綺麗に塗れます。
こんなに茶色くて良いの????と思いがちですが(バカボンのパパ風に) 「これでよいのだ」

台枠とシリンダーブロックを見ると判りますが、汚れのエアブラシによるウェザリングは既に終わっています。
エアブラシを入れない事を決めている部分の色を調整する作業がこの車輪やモーションプレートの塗装なのです。


乾くとこんな感じです。

エナメル塗料ビンが並んでいます。
X-10とX-24を中心にこれらを混ぜるとロッドの色に近くなります。

クロスヘッドやリターンクランク等はロストワックス製です。
ドロップやプレスで抜いた他のバルブギヤより黒ニッケルメッキが掛かりにくく、どうしても色が違う、白く仕上がってしまいます。

同じようにロストワックスで出来ているIMONシステムトラックのフログは通電の必要があるので、黒染を加える事によって引抜きレールとの色の差を詰めているのですが、このクロスヘッド等の場合は色合わせをした塗料の塗装の方が綺麗に上がります。

実物の蒸機は、特に下の方ほど赤いです、茶色いです。
ロッド類も「くろがね」が「黒い」煤と飴色の油にまみれており、一所懸命にウェスで磨いてもなかなか白っぽくなってきません。
そういう色の雰囲気を表現したいモノです。



例によって作用管は弱く黒染してあります。そして安全弁も軽めの黒染です。


この煙突まわりを煤汚し無しでもすっきり仕上げたかったわけです。

しかし、こうしてこの姿を見てみると煤を使ってある方がそれらしい蒸機の姿であることは否定できません。


D511127 [滝] 折れ曲がりの無いデフを持つゲロゲロの戦時型です。
ヘッドライト下の幅200mmの「架線注意」はヘッドライト台座ではなく煙室扉に直接付けられているタイプです。


増炭の木枠が無い機関車です。
テンダーヘッドライトは標準的な付き方です。




なにしろ[架線注意]が付く事によって末期の蒸機というモノの味がぐっと出るようになったと思います。
テンダーのステップに斜めに掛けてあるトラ縞の架線注意板をどうしようかと考えています。

どうやら目的を達してロウソクの煤無しで仕上げが終わったのですが、今後蒸機をどう仕上げていくかについては「検討中」です。






D51 118 [岩]

2009-12-15 | 鉄道模型
ブログを書くと言う事は、日記ですから何でも本当の事を書くようになって行ってしまいます。

つまり、私の模型生活も暴露し続けることをあらわしています。


こうなったからには観念してどんどん書き込んでいく事に致します。


2008-12-26 堀切菖蒲園 フェニックス模型店

店主作品で知られるフェニックスの荻原道信社長とは長年のお付合いで、店主作品を買わせて頂いて居ます。
16番モデラーとしてのお付合いが長かったです。

私は16番で長くやってきましたが個人の模型の主たるゲージが12mmへの移行(50:50を越えたのは3年前)に伴い1/87 12mmで作って頂いています。

元来蒸機こそは16番ではどうにも扱えない世界ですからこの「移行」は随分遅かったと言えます。



店主作品と言えば特定ナンバーです。
保存蒸機を徹底的に取材して蒸機の詳細を正確に調べるのがフェニックスの店主作品の特徴でしょう。
保存機が残っていないカマについては、長年静態保存機に対して調べ上げた情報、経験で存在する写真から推理究明していく事になります。

フェニックス店主作品を作るのはあくまでも店主であり、オーダーを受ける事からはじめるモノではありません。
しかし、当然希望に関しても反映して頂いたりしています。

店主作品の材料は、キットが中心ですが、委託品の中古完成品もよく使われています。
先日ノーブルジョーカーの運転会に持って行ったC58は古いトビーのキットと10年ほど前発売の天賞堂C58の委託品(両者完全に同一のものですので部品がぴったり合う)を私が捜してきてベース用に手渡して「作品」となった物なのです。
C58キットは珊瑚からも出ましたが数が少なく手に入りません。ベース用のC58は不足しました。


荻原さんはキットも完成品も16番の古い製品から最新の製品に至るまで各社の構造について熟知しています。

その長所、欠点、設計姿勢、メーカー各社の蒸機に対する指向、経営哲学に対しても私に教えてくれます。
どのメーカーのボイラー径が太いとか細い(1/80に近い)とか線路幅(1/64です)を何処で打ち消そうとするかによってパーツの相互乗り入れが可能か不可能かも色々なのが16番です。

IMONとして蒸機模型を極めていくためには乗工社から受け継いで来た構造や、日本型蒸機の設計の真髄と言うべき設計者、アイデア溢れる宮代技師長の工夫に加えて荻原さんの知識、アドバイスを加えて行きたいと考えています。

店主作品については、時々中古委託市場で見かけるので現物を見られた方も大勢居ると思います。
(カツミの完成品のような)オーソドックスな仕上げになっています。
しかしカツミのようにすっきりしては居ません。
「塗装」には力が入ってないのが大きな原因だと思われます。

私が自分の登録模型にするためには仕上げをきっちりやり直す必要があります。


D51118のテンダーです。
ベースはIMONのD51標準北海道です。

このように塗装の中に埃が入っている事もあります。
こういう場合は宝石用10倍ルーペで見ながらカッターで埃を削り取ります。
最近になって削りの技術が上がってきましたので綺麗に仕上がるようになりました。


テンダーの裏返された姿です。
これから全て分解され、本体にはウェイト(40年前の16番電車の床下器具など軽い物)を搭載し、全てマスキングされてウェザリングに回されます。


テンダー台車中身です。
D51標準キットはこのように3点支持になっているようですが、普通の電車と同じように全部ブラブラ動く4点支持にしていくべきと考えます。
車輪はタイヤ側面まで黒塗装されています。(五反田工房による塗装)


機関車本体については、磨出作用管を「軽く銅色が残る程度」まで黒染し、煙室につや消し(田宮XF-1フラットブラックに少しフラットベースを追加した物)を筆塗りし、黒染だけで仕上げられたクルクルパー上面に薄めたマッハシールプライマーを塗り、ハリケーンブロアーで網目のつぶれを吹き抜きます。

ホンモノの蒸機はボイラー(正確にはボイラーカバー)は艶有り黒、煙室はつや消しという差ははっきり感じられるものの、本来つや消し(正確には耐熱塗料)で塗装されている筈の煙室扉や煙突には艶が感じられるモノです。
煤が付いた状態で磨かれるからそうなるのかなと思います。

そこで、つや消しと半艶の中間くらいの黒色をこの上からぼかして吹きます。
その塗装によって
①クルクルパー上面に着色し

②煙室と煙突の境界線をぼかします。

③そしてもちろん煙室とボイラーの境界線はぼかしません。



仕上げ作業はこの後
①錆色を必要箇所に色差しします。

②その上から下回りを中心に汚れ色を吹きます。

②黒塗装された車輪やモーションプレートの外側に、リターダシンナーで薄めた汚れ色が混ざった黒茶を筆塗りします。

③ロウソクを使って煤をまぶして専用の筆で拭き仕上げをします。




これは既に最後のロウソクの煤による仕上げを終えた姿です。

ロウソクの煤による仕上げについて;
良い感じなのですが、安定した状態とは言いにくいです。
筆で触ると艶が変化してしまいます。
従って、できればやめたいのですが、この煤まぶしによって悪い仕上げも隠れるのでやめられません。

乗工社のシンガーフィニッシュではこの効果と似た仕上げ法が有ります。
しかし、私はそれが三十数年前の数々の自分のウェザリング失敗にそっくりに思えてとても採用する気になりません。


我々は今後

①煤まぶしと違って安定して居り

②乗工社蒸機のシンガーフィニッシュのようにやり過ぎたウェザリングみたいな感じではない

という新たなウェザリング法を開発しなくてはなりません。



こちらはテンダーを裏返した姿です。

①ドローバーピンが宮代のアイデアによる黒ニッケルメッキ抜き止め付挽物+1.4mmネジに交換されています。

②テンダー台車のセンターネジが、段付きマイナスネジから同じく黒ニッケルメッキ挽物+スプリング+1.4mmネジという最新のシステムに交換され、集電性能を上げています。

③ブレーキシューが塗装され、テンダー本体と台車がウェザリングされています。


発電機まわり配管は製品では実現が難しいホンモノを模したゆがみを付けて引き回してあります。


この時点での仕上がり状態です。


テンダーの後部ヘッドライトにカバーが無いのが珍しいですね。
テンダーの塗装の乱れは、カッターで削り、黒を吹き、ウェザリングを掛けたことによって完璧に消えています。


荻原さんはD51のドームに感じている思いを込め形を少し変えてあります。
上から機関車を見た事に掛けては普通の蒸機ファンの何百倍、当然世界一でしょう。


D51118は北海道で極めて珍しい丸窓付の密閉キャブ改造標準型です。
(開放キャブには何台か有りますが、末期は唯一の存在)
スノープラウは途中で折れているタイプを付けています。
(このような蒸機パーツはIMON原宿店に五反田直送で並べてあります)

お気づきかもしれませんが「架線注意」が貼ってありません。
まだ発売前だったのです。

発売後に仕上げた機関車について明日は書き込む予定です。