魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ノミノクチ

2022年10月08日 12時08分48秒 | 魚紹介

今日は久々に長崎からやってきた魚のご紹介。スズキ目・ハタ科・アカハタ属のノミノクチ。長崎県の魚を購入したのは久しぶりである。今年の頭くらいにアオバダイを購入して以来のような気がする。

このノミノクチは2014年以降、長いこと到着を待ち望んできたハタの仲間である。見た目はキジハタなどに似ているのだが、体側背縁に黒い点が何個か入っているのでキジハタと見分けることができる。ちなみにノミノクチというのは長崎の呼び名らしく、和歌山県で「あこう」「きょうもどり」、三重木ノ本で「うきいぎす」などという地方名で呼ばれ、古い図鑑では「ほしはた」という名前で呼ばれていたことがある。

ノミノクチの体背縁の黒色斑

この手の「体側に黒色斑が入るハタ」というのは日本近海にも24種ほどがいて、しかもなかなか見分けるのが難しい。このノミノクチは尾鰭が丸みを帯びること、胸鰭に暗色の斑点がほとんどないこと、体の背縁から尾柄部に黒色斑が3~4個入ることなどによりほかの斑点のあるハタの仲間と見分けられる。ただし初心者には難しいだろう。斑点のあるハタ科の魚の見分け方ガイドみたいなものを作りたいのだが、それにはまだまだ時間もカネもかかりそう。特にハタの仲間はみな高価なので、カネというのは意外と重大な問題なのだ。ノミノクチは温帯性で、千葉県から九州南部の太平洋岸、山口県、九州北部および東シナ海岸、小笠原諸島に、海外では朝鮮半島近海、台湾、東シナ海、中国沿岸に分布しており、この温帯性の分布域というのも、同定の助けになる可能性はある。キジハタとの見分け方は上記の通りで、体側背縁から尾柄に黒い斑点が3~4個入ることによって見分けられる(キジハタは赤黒色斑が背鰭中央付近に一つ入る)。またノミノクチは太平洋側に多くいるが、キジハタは日本海岸に多い印象がある。古い図鑑では「熱帯性のもので本州中部以南、南支那海・ジャバなどに分布する」としたものもあるが(北隆館「原色動物大図鑑Ⅱ」)、これはヒトミハタやイシガキハタなど、熱帯性の斑点があるハタと間違えた可能性が高い。

ノミノクチもほかのハタ科魚類同様、非常に美味な魚である。ハタの仲間は皮にもうまみがあるので、皮をひかずにうろこだけ落として皮を若干あぶる。そして刺身に。これが最高に美味しい。今回は久しぶりの長崎 印束商店 石田拓治さんより。いつもありがとうございます。秋が深まるにつれ何かいいのが入ってくるかもしれないので、とても楽しみ。


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