魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

出典ばかりの魚図鑑サイトってどうよ。

2023年11月12日 16時35分59秒 | 魚類とインターネット
いやー、寒いです。今朝は6℃だってさー。
 
 
さて、最近の図鑑サイトを見ていると、写真など画像の出典が書かれているサイトが多い。もちろん、この出典こそ、引用を満たすのに必須の条件ではあるが、逆に画像の全てに出典があると、萎えてしまうのもまた事実である。魚図鑑サイトの問題を散々のべてきたものであるが、よく考えると魚サイトの写真やイラストなどの画像についてはこれまでほとんど述べてこなかった気がする。ということで、今回は魚図鑑サイトの画像について。長くなるので、全部を一日で見ない方がいいと思うんだ。なおいつものように、写真と本文にはほとんど関係がない。
 
●魚図鑑サイトの目的
 
 
魚図鑑サイトの画像についてはいくつかのパターンがある。「市場魚介類図鑑」や、「宇和海の魚図鑑」などのように自分の写真だけでつくるサイト、「某魚図鑑」や、比「fishbase」のように多数の画像投稿者からの画像を借りてつくるサイト、そして引用した画像を中心につくる有象無象の図鑑サイトである。
 
これらの3つのサイトは目的がだいぶことなる。市場魚介類図鑑のサイトは広告もついているが多くの人の知的好奇心を満たしてくれる。宇和海の魚図鑑サイトも同様である。某魚図鑑については広告もついていて、知的好奇心を満たしてくれるということもあるのだが、某フォーラムというコミュニティから発展したサイトであり、魚好きの交流の場としても機能していた(過去形)。一方でfishbaseはやや異なり、専門のプロジェクトからのデータベースであり、協力者も市民よりはアカデミー系に偏っているように見える。ただしその分信頼性は向上する。
 
そして最後が問題である。多くの場合、有象無象の魚図鑑サイトは大体が広告を掲載して収入を得る、つまり金儲けが目的である。この手のサイトには広告がペタペタと多数貼られている。そんなことを言い出したらほかの市場魚介類図鑑や某魚図鑑はどうなんだ、といいたい方も多いかもしれないが、これらのサイトは大体が「サイトが先にあって広告がついている」というパターンか、我が「魚のぶろぐ」をはじめとするブログサイトのように無料で使用できるかわりに広告を載せている、広告貼らなくすることもできるが有料、というパターンであり、有象無象の魚類サイトはそれが明らかに広告収入が第一の目的だから品質も良くならないし、低品質なのに気がつくこともないのかもしれない。
 
●有象無象魚図鑑サイトの画像の出どころ
 
 
 
Vincent Choo Tee Yong氏によるソウシハギの写真。WikipediaよりCC BY-SA3.0ライセンスのもと使用。この写真モウミアキタヨ...
 
有象無象魚図鑑サイトの魚画像はどこからやってくるのか。その中で最も多く、かつ合法的なものは専門的な素材サイトから持ってくるというものである。有料のものと無料のものがあるが、大抵は無料の素材サイトが使用されている。
 
複数の有象無象図鑑サイトにおいて全く同じ写真が使われている、というケースもしばしばある。その理由は無料で手に入る素材は種数がどうしても限られてしまい、同じ画像をつかいまわす必要が出てくることになる。一方で、「ほかのサイトも使っているので安心」と思い、使っているケースも多々あるのではないかと思われる。他の人がやってるから自分も…というのはわからなくもないのだが、オリジナリティはない。かと言って自分には同定できないからほかの人と同じ写真を使うしかない、なんて言ってしまったら、もうその時点で図鑑サイトとしては「ジ・エンド」である。
 
さらにいえば、その出典もとの素材サイト、本当に同定が正しいのか疑問である。有料の素材サイトならともかく、無料の素材サイトではかなり同定が怪しいものが見られる。例えば、とあるサイトにて、マハゼ釣りの紹介のサムネイルでは、ネズッポの写真がつかわれていたが、他のサイトも全く気がつかずに同じ画像がマハゼとして使用していた。これはもともとの素材サイトの方で誤った同定がなされていたためである。
 
●素材サイトの種類と合法性
 
画像素材サイト、とひとことで言ってもその品質は様々である。日本国内の有料の素材サイトであればある程度同定の精度は高いが、無料の素材サイトについては同定が怪しいものも散見される。一方で外国のサイトについては有料であっても同定の精度が…。
 
またフリー百科事典サイトwikipediaから写真やら解説やらを引っ張ってきた図鑑サイトもあるが、このサイトも同定に問題が多くある。さらにこのサイトは多くの人が見ているため、何処から画像素材や解説を引っ張ってきているのかがすぐにわかってしまう。解説を百科事典サイトから引っ張ってきたならばそんな図鑑サイトではなく、百科事典サイトの内容を見ればいいことである。つまり、解説を百科事典サイトから引っ張ってくるということは、作った図鑑サイトの存在価値を消すということでもある。
 
上記のようなやり方は図鑑サイトとしては終わっていると思うが、まだ合法ではある。しかし中には違法な手段で魚図鑑の画像を入手しているサイトもある。例えばあるサイトでは私のぶろぐのとある魚の写真を勝手に使っていたことがあった。以前、2010年に筆者が某魚図鑑サイトの運営をしていたときに似たような問題があり、対応について掲示板で議論をしていたとき、ある人が書き込みをしてきた。その人物いわく、撮影した魚の写真で権利を主張するのは難しいのだと。しかし2023年の現在、そのような主張は通るはずもない。
 
●画像素材サイトからの使用はどのようにすべきか
 
「画像素材サイトから画像を使用するのは一部にしておくべきであるが、その一部の素材ですら、採用することによりそのサイトの信頼性は著しく損なわれる」というのが私の持論である。その画像素材がもし誤同定されたものであれば、その誤同定の画像素材のせいで、サイトの評価はガタ落ちである。出来るだけ使わない方がいい。今回はネタでソウシハギの写真を引っ張ってきたが、そういうこと以外ではほとんど使うこともなかろう。
 
そして、そもそもであるが、画像素材サイトというものから画像素材を引っ張ってくること自体がありえないのである。
 
一昔前であれば「いいカメラがなく、写真が撮れない」なんていう言い訳で逃れることもできたのかもしれないが、今やスマートフォンでもいい写真をとることができる時代である。今現在の日本で、魚図鑑、生き物図鑑を名乗っているのに自分で撮影した魚の写真が1枚もないのは、図鑑の作成を舐めているとしかいいようがない。図鑑というのは人間の知的好奇心を満たすもの、人間の知りたいという欲求にこたえるものであるべきである。それは今も昔も変わらないものであり、とくに今後AIが勢力を拡大しようが、この仕事は人類が滅びるまで続くはずである。そんな壮大な仕事を金儲けだけ考えて中身を疎かにするというのはもったいない。
コメント
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