新・ほろ酔い気分

酔っているような気分のまま、
愚にもつかない身辺雑記や俳句で遊んでおります。
お目に留めて下されば嬉しいです。

生命が減る迅さ

2015年10月16日 16時42分02秒 | 名句で勉強

    生命減る迅さに秋の水流れ    馬場駿吉

 作者の目は「川の流れ」を見ているのではない。

 迅く流れている澄んだ水を見ているのだ。その瞬間、瞬間に形を変えながら流れている水に、わが身の生命を感じたのだろうか。

 鴨長明の方丈記は、

  「ゆく川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。

  よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例(ためし)なし」

 と、書き始めた。

 方丈記の「川の流れ」は、秋の水に限ったことではない。しかし、「久しくとどまりたる例なし」となれば、私は秋の川を感じてしまう。

 句の作者は、「久しくとどまる例」のない川の澄んだ水を見ている。その澄んだ水に、限りある生命を感じたのだ。

    流木に如何なる記憶秋深し    ひよどり 一平

 

コメント (2)
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