農を語る

自然にやさしい不耕起栽培

アメリカザリガニの繁殖について

2014-01-23 10:23:09 | 日本不耕起栽培普及会

1昨年の夏、佐倉和田地区の斉藤和さんのグループで長野高山村の園原久仁彦さんを訪れ冬季湛水深水の話を聞き佐倉に帰って深水を秋から始めた。ところが昨年の春いざ田植えを始めるとアメリカザリガニの洗礼を受け大量に増殖したため2回、3回と田植えを繰り返してもザリガニにイネを食べられてしまった。生態系のいたずらでザリガニの繁殖を止められない。長野の寒い環境ではまずザリガニがいないということもある。香取の藤崎さんの所でもザリガニは生息しそこらじゅうに穴を掘っている。でもイネを食害することはない。他の小動物との関係のなかでバランスがとれ極端に増えることはない。これまでの埼玉の上原さんや房州の前田さんの所でも当初ザリガニの被害を受け軽トラ1台分捕獲したという話も伝わった。暖かな地方では6月の産卵だけでなく、9月、10月でも深水にしていると産卵するようだ。10センチ以下の水深で絶やさない程度に維持し11月から10,15センチ、寒に入れば10センチ程度で良さそうである。多古の天井田の池で7,8年前やはりアメリカザリガニが異常に増殖したことがあったが、近くの小学校の子どもたちを招きザリガニ釣りを体験させ楽しんだ。しかしその後はザリガニの繁殖も安定し適度に生息するふうで問題は発生していない。昨年の農業高校のクラブ発表の中にジャンボタニシを捕獲する実験が報告された。今流行の{愛媛AIを餌にして}網で捕獲できるという記事である。私はそこで、愛媛AIを早速増殖させ団子を作り今年の春先アメリカザリガニの捕獲をやってみようと計画している。おそらくジャンボタニシもザリガニも同じ餌で捕獲できるのではないかと予想している。しかし本来的にはそれぞれの水田環境において生物の安定した平衡関係があってしかるべきだと考える。


ジャンボタニシ(スクミリンゴ貝)の功罪について

2014-01-21 11:52:06 | 日本不耕起栽培普及会

養殖うなぎのえさとして南米から導入されたという藤枝の松下さんから聞いた説とか人間が食用とするために台湾から1981年に長崎、和歌山県に輸入され美味しくなかったので世にはなたれたという案もあるようです。1984年には有害動物の指定を受け移動を規制されている。南から次第に北上、1990年代には千葉県の九十九里の水田でも繁殖、藤崎水田では2,008年に排水路で産卵が繰り返され2009年には水田に侵入その後湛水田に全体に広がった。寒さに弱く福島県では越冬できない。韓国では冬ハウスに避難させ、除草のために積極的に利用しているというはなしである。農薬を使わない有機農法農家ではイネを食べられるということで、特にカミマルチ農家では大変だった。藤枝の松下さんの話では水田に高低があって深い所で繁殖したり集まりやすくそこでイネが食害を受けるということで、田面の均平を厳密にしている。そして増えすぎたらお茶や椿の油で殺すということである。藤崎さんの所では産卵した卵を探して密度を減らすようにしている。オレンジとか赤の目立つ色であるから探しやすいようである。ただこのジャンボタニシも増殖には年度により増減があり増え続けたその後減少に向かうということで、資源型農法だから持続的な観察が必要となる。藤崎さんはミネラルや米糠の散布を自ら水田に足で入り自然の変化を肌で感じながら生きものと伴にいきているという感じである。滋賀の安井さんは、繰り返しになるが岩澤さんのファンであるが何もしない農法で不耕起、冬期湛水を続けていたら大体4年でまた元に戻り一定の周期があると感じている。大分昔になるがジャンボタニシを味噌和えにして食べたことがあるが柄の割には実が小さく味はさほど美味しくなかった。


香取・藤崎水田でのアカウキクサについて

2014-01-14 10:02:18 | 日本不耕起栽培普及会

藤崎水田で冬期湛水が始まったのはたしか2003の秋からだと記憶しているが、それから2年たった2005年頃突然アカウキクサが発生をはじめ田植え時期からいねの栽培とともに増え始め勢力を強め07年にはアカウキクサの大型のアゾラ(アイガモのえさとして輸入されたとする種)が増殖し田植え後のイネを倒した。F-2の水田で被害が多く苦慮した。その後もオリザ水田で田植え前に水田から除去する作戦をとったがとりきれず山となっていた。たまたまその年秋になって収穫の直前水を落として、1週間後アカウキクサは枯れ、無肥料に近いコシヒカリが元気を取り戻し1,2俵の増収となった。アカウキクサはシダ植物であり葉の裏にシアノバクテリアという空中の窒素を固定する古代菌を共生させていることがわかった。文献で知ることも実際の水田で検証できることは最高の喜びである。藤崎さんはその後収穫後にたびたび発生するこのアカウキクサの生態を知って冬の寒い1,2,3月に水を切って枯らしたりしている。昨年は9月の収穫後の台風で50センチ前後水をかぶりこのアカウキクサは浮き上がって遠くへ流されてしまい今ではその姿を確認できない。浮き草という名前のごとくその正体はなぞに包まれたままである。資源型農法というのは自然生態系を日々観察しそのつど判断を下していかないと違った方向に行ってしまう。またこれは利根川水系や琵琶湖水系など昔からの湿田地帯の水田では不耕起栽培を3年続けると自然に発生するものである。ただ農薬や除草剤には敏感で発生がおさえられる。実験では食用油にも弱いようである。