農を語る

自然にやさしい不耕起栽培

全農研大会の主な行事記念講演など

2007-07-18 10:30:26 | 全国農業教育研究会

豊かな水と緑あふれる町づくり木曽町町長田中勝巳氏

8月3日14時30分から16時まで 駒の湯温泉

特別報告小林文麿氏地産地消から国産国消、産直市場グリーンファーム

      伊藤和巳会員さる・柿合戦、野生サル対策高校生の活動

      遠山善冶氏木曽山林高校林業教育のあゆみ

8月4日午前中は地域の見学

木曽山林高校、林業資料館、開田高原、木曽馬の里、ふるさと体験館(野口ヒロ子氏の話)

8月4日午後は分科会及び19時から懇親会

8月5日午前は分科会報告、定期総会、閉会集会

     午後は希望者による見学会木曽福島宿、奈良井宿、木曽漆器館    

     等、会員でない方の参加歓迎


全国農業教育研究会の全国大会は長野・木曽町で開催

2007-07-18 09:54:01 | 全国農業教育研究会

中山間地の農林業と地域づくり

水と緑・地域資源の活用を図り明日の農林業と教育を展望する。

期日07年8月3日13時30分から5日正午まで

会場駒の湯温泉長野県木曽郡木曽町福島47-2

電話0264-23-2288 参加費4000円、宿泊費21000円

参加申し込みは全農研事務局相原昭夫電話F042-536-8763

分科会1、技術と職業教育

分科会2、環境と食農教育

分科会3、学校と地域連携

分科会4、研究と実情報告


いねとはいのちの根なり(その1)

2007-01-01 17:55:03 | 全国農業教育研究会

「いねとはいのちの根なり」

    農業科学基礎<栽培>の授業

                            熊本・田中 之浩

 はじめに

 昨年(2005年度)非常勤講師として熊本農高に勤務した。退職して6年がたっていて「いまさら」との思いであったが、他に見つからなかったようで再三の依頼に引き受けることになった。私の中には「今一度教壇に立てる」「これまで蓄えてきた私の想いの一端を生徒たちに伝えることができる」という嬉しい想いも少しはあった。

 週に3日、9時間の授業であった。ここでは、畜産科の1年生の農業科学基礎<栽培>の授業について報告する。

 熊本農高畜産科の1年生の農業科学基礎<栽培>は1単位で、それを総合学習の1単位と組み合わせて、2週間に1回2時間に1回2時間続きの授業として組まれていた。だから行事などで潰れると4週に1回しかできない時もあり、絶対的な時間不足であった。そこで出張など空きが出来たこのクラスの時間をもらって補った。その結果、年間で38時間の授業ができた。

  授業のすすめ方

 授業は資料のようにプリントを準備し、大体2時間で1枚を、できるだけ質問を多くして、ゆっくり進めるように心がけた。

 授業の最後に、5分前後の時間をとり、その日の授業の感想をかいてもらって提出させ、次回までに全員に赤ペンで書き込みをして返却した。かなり大変であったが、2週に1回しか会えない生徒たちを理解するのには役立った。できれば教科通信というようなものを発行して、この感想や質問などを全生徒に返していければよかったと思う。

 ところで、種まき、田植えなどの実習の準備や田植え前の耕うん、代かき、それに田植え後の管理はすべて農業科の作物担当にやってもらった。

 種まきは、ポット育苗箱(1人1箱)に3粒づつ手でまき、水田の育苗床に名箱順に並べさせた。その他生徒たちのやった実習は田植えとイネ刈りだけである。

 そこで授業の始めにできるだけ水田に連れていき、イネの生育状態を観察させるようにした。2週間、時には4週間ぶりに見るイネの生育状態に生徒たちはいつも驚いていて、その日の感想にそのことを書いていた。

 イネ刈り実習は、特別に頼んで担当したこのクラスだけ自分たちで田植えした田んぼの一部を鎌で手刈りさせてもらった。これは生徒たちの強い要望があって実行したことであるが機械化された今の収穫作業を理解する意味でもよかったと思っている。

  やってよかった授業のいくつか

(1)収穫したお米を生徒たちに

 これは授業ではないが、収穫したお米を生徒一人1キロづつ持ち帰ってもらった。一人1キロでも42名いるクラスなので42キロである。作物担当の先生にはかなり無理なお願いをして実現した。

 お米を持ち帰ったことについて取ったアンケート(資料)を見るとほとんどの生徒が「嬉しかった」と答えている。今時米1キロ位もらってもと思うかもしれないが、違うようである。自分たちの実習で生産されたものへの思い入れがあるのだと思われる。それは生徒たちの感想にもよく出ている。

 また感想を読むと持ち帰ったお米を通して、家庭でいろんな会話が生まれているのが分かる。このことは、私たちにとっても大切なことを投げかけているように思われる。

 農業高校では生徒たちの実習で生産されたものは、もっと生徒たちに試食させたり、よくできたものから家に持ち帰らせるようにすべきである。その中で、生徒たちは自己評価や自己肯定感をグンと高めていくことができるのではないかと思う。


2007

2007-01-01 15:21:44 | 全国農業教育研究会

今年も香取の藤崎さんの水田や、多古の桜宮自然公園の天井田から生き物を中心とした情報をながします。ホームページに引き継いでよろしくお願いします。コンバインの写真は藤崎水田オリザ塾の稲刈りのときの写真です。時には感想をおよせください。


普遍的な岩澤理論の正しさを確認

2005-12-31 17:36:38 | 全国農業教育研究会

                                   日本不耕起栽培普及会会員鳥井 報恩

 熊本県の田中之浩さんから私のところに今年の米が届けられたので礼状を書きながら今年の淡路の大会に不参加ではあるが、近況をお知らせし、レポートに替えます。

 日本不耕起栽培普及会会長岩澤信夫さんは在野の農業技術者である。74歳であるが、胃袋を切ったり、腎臓は半分しかないとかで外国には免疫力がないということで出かけられないし国内も1泊程度に制限している。普及会は現在は出入り自由な会であるが、かつてPOF(ぽふ)研究会と言っていた頃は1000名の会員がいて、この技術は利益につながるので夢中になる人は、その技術を囲い込んで他人にはできるだけ内緒にしている向きもあったという。確かに何でも新しい情報は取り込んで自分のものにしてしまうので、本当かなと首を傾げる向きもあるが、岩澤さんの行動力は全国のネットワークを通して毎月の新しい情報を会員にこまめに提供し、各地で実験をするようにと指示を与える。現在は200名前後の会員であるが、様々な地域での試みが同時に展開されるので、さらに実験の精度は高まっていく。田中之浩さんも3年前の全農研の千葉大会で岩澤さんの話を聞いてからの会員であるが、すでに2年米を作った。昨年このヒノヒカリを岩澤さんに食べてもらったところ、九州の米は美味しい米はないと言っていたが、田中さんの米は食べて美味しかったと下手褒めであった。

 田中さんの行動力には感動したが、同じ地域の農家の人々が自分もやってみたいとか、くまもと環境ネットワークの西田陽子さんがはじめるとか、幅広い活動をされていることに敬服する。

 燃料革命で油を使うようになって確立した技術、1961年農業基本法が若い研究者にバイブルのように規模の拡大、選択的拡大、機械化が近代化の3本柱として強調された。 こうした近代化の目標とは別に、古来からの土を耕す技術に反抗して、自然の生態系にそった米作りという観点でこの技術は組み立てられていった。

 自然の中の生き物を殺さないで、自然循環を正しく受け止めた形での米作りへの応用、官学では何故こうした生き物の存在を考慮した自然循環を生かせなかったのか、一昨年の夏の滋賀大会のレポートで農薬の空中散布の問題、そして昨年の夏の伊豆での総会の折り「不耕起栽培5年目の春」で指摘している減農薬で安全よりも農家の草取り労働の軽減が重視されてきた。その結果病害虫に対する考えは殺すこと、密度を減らすことでストップしてしまい、安全性は置き去りにされてきた。

 千葉・野栄町の熱田忠男さんは水俣の体験を通して30年前から無農薬に徹し技術を蓄積してきた。無農薬の技術は減農薬でなく、無農薬でこそその技術の本質は明らかになるし、細かい技術の積み重ねで変革が可能になる。

 佐原の藤崎さんも病害虫による5%のリスクと言って健康なイネの苗を育てることで病害虫や異常気象に会っても、全く動じないすずしい顔で過ごせる。特に冷害の年の方が却って多収穫であったりする。多少虫に食われても、病気にかかってもいいじゃない、人間だっていつもいつも完璧ということではない。生き物がバランスよく生きられる環境の育成こそが大事な要素である。

 熊本の田中さんの4セの水田で収量3俵強ということは、私の多古の水田を考えると驚異的である。生き物の復活もめざましい。ヤマアカガエルの繁殖、2月頃から水田に水が入ることで、どこからともなくカエルが産卵にやってくる。このことは佐原でも冬期湛水田で2年目には日本アカガルが産卵をはじめ、4年目の今年は藤崎水田の3ヘクタールの湛水田で1500個以上の卵塊を確認できた。また多古の谷津田でも8aで200個前後の卵塊で秋にはカエルだらけの状態を確認している。常駐するサギやカモの数が少ないので天敵がおらずカエルの生存率が高い。今後アメリカザリガニ、ウシガエルなどとの競合が興味あるところである。千葉の水田は元々湿田で、コサギやアオサギは今でもいるがトキの再来を考えるとイネ収穫後の水田にも水を戻し、除草剤を使わない環境保全型の稲作を期待したいところである。             2005年12月31日

 多古桜宮自然公園天井田、冬期湛水水田の生き物

 05年11月15日調査 10a当たりに換算した数

種 類

匹 数

種 類

匹 数

イトミミズ

280万

ケンミジンコ

36万

ユスリカ

48万

巻き貝

 6万

トビムシ

144万

アメリカザリガニ

 2万

ミジンコ

20万