春になると岩澤信夫さんは若い頃からじっとしておれず野山や川を駈けずり歩き成田周辺の現場を細かく知り尽くしていた。それはメダカのがっこうの時代からうなぎの捕獲、カモやハクチョウまで捕獲した話まででてくる。そして千葉は気候に恵まれていすぎるので野草などに目を向ける人が少ない。きのこ類をはじめ生活の足しになるものは見逃さないで採取し金に換えろということであった。オオイヌノフグリは生活の足しにはなりそうもナイが5月の春にはてんぷらにして野草を試食する会を毎年企画していた。そのころ集めた雑草などをあげておきます。アカシアの花、ヨモギ、くずの芽、ドクダミ,ノビル、よめな、クレソン、ふきのとう、各種たけのこ、ノカンゾウ,藪カンゾウなどなどです。
農薬、除草剤を使わず、またトラクターで最小限耕さないことを繰り返さない水田を続けていると数年たつとトビ虫が住み着き、収穫頃から田植え頃の水田にはいるとそこでクモが水面を泳いでいることに気づくこのクモは改めてクモの巣を張るわけではないが10センチ角に1匹とかの数で生息している。もちろんトビ虫がクモのえさとなっている。これは岐阜のつづはら山田えいのうでカメムシの数の比較調査で慣行と不耕起・湛水田で慣行田のほうが常に多かったと報告している。このことは藤枝の杵塚さんがお茶畑で近在の慣行栽培農家と無農薬畑とで害虫がどちらに飛ぶかでの論争があった。最終的には天敵がバランスよく生息する杵塚さんの無農薬茶畑の方が害虫が少ないことが明らかになりその争いはおさまった。香取の藤崎水田でも逆に近所の水田でイモチ病が蔓延したとき藤崎さんの水田にも多少は影響を受けたが改めて農薬を散布するわけではない。そこでは藤崎さんの戦略がある{5パーセント以内の被害は許す}自然の生存権を認める、病害虫に対してもおおらかに対処することである。そのことが普段の藤崎流の生き方に繋がっている。
昨年4月雑草だらけの水田の作付けを12a3枚の作付けをたのまれた、塾生の佐瀬さんと藤崎さんから譲っていただいた苗を植えたが、草の中に植えることになったので結果としたは22キロの収量に終わった。散々な結果であった。岩澤さんは常々いい条件の水田を借りなさいという話であったが、ここは最低に近い所から始まっている。今年が2年目でぼちぼち佐瀬さんと1枚づつの取り組みである。畦の土をあげたり波板の取り付けを行ったりしているが、今の悩みは長年雑草をはやし続けた多年生のカヤとかセリがはびこっている。このうちの1枚の水田は転作というか冬期湛水が出来ないので畑として小麦と大豆でいこうと計画している。しかし水田の真ん中だから湿害でうまくいかないかもしれない。これも新たな挑戦である。