農を語る

自然にやさしい不耕起栽培

長野・高山村訪問記(3)

2008-07-22 06:32:38 | 日本不耕起栽培普及会

 代かきをやった場合どうしても除草剤を1回は散布しなければならないので、生き物の数は制限される。1回でも耕してはだめという岩澤信夫さんの考えは正しい。岩澤理論は全国どこでも通用する技術であり、今後二酸化炭素削減の方策としても活かされるだろう。園原さんはダイオキシンを減らすためにEM菌の働きに着目しEM研究会に入り模索している頃、自然耕塾に学び、高山村への入植をスタートさせ、農家から廃屋を借りて農家に呼びかけ不耕起栽培への協力者をつのり15人の賛同者を得た。ホタルの居る田んぼを創る会を主宰する。標高550mの高山村が拠点となった。

 名古屋にあるイーエム総合ネットで収穫した米を高く買い取ってもらうことで農家の協力が得られる。4年たって原油が高騰し1バーレル100ドルを越えた。ますますエネルギーの価格が高く、温暖化で二酸化炭素の蓄積が深刻となり、慣行の代かきを行う従来の米作りにもエネルギーを使い過ぎることの反省が生まれている。この時期にさらに不耕起栽培の協力農家を増やしていくのには点から面の広がりを作る必要がある。全国の不耕起の会員のいるところでもホタルの居る里づくり、メダカの泳ぐ田んぼと目で見て確認できる消費者への働きかけを行い地域に還流させることで高山村でも村ぐるみの不耕起の里になり、水の管理やいのしし対策も国の支援が可能になっていく。

園原さんはこのホタルやメダカの繁殖に相当力を入れており、小布施の老舗の料亭の庭にカワニナとメダカの泳ぐ豊かな自然再生をEM菌で復活せせている。こうしたひたむきな努力が花を咲かせている。


長野・高山村園原さん訪問記(2)

2008-07-14 09:22:11 | 日本不耕起栽培普及会

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 この米を食べている消費者を見学してもらうとホタルの飛び交うこの田んぼの米が欲しいと訴えてくる。ホタルやメダカこそが、消費者を説得する力となる。

 ヘイケボタルはゲンジホタルより小さくゲンジボタルがカワニナをエサにし、沢水の流れるところに生息するがヘイケボタルはタニシ、モノアラガイ、マキガイ、ドジョウ、メダカなど肉食で小動物をエサとしている。田んぼを生活の場にしている。園原さんの田んぼで1昨年は2000匹、昨年は1000匹発生した。1匹1一人、2000匹出ると2000人が見に来る。

 これまで除草剤や農薬で日本人が絶滅させてきたのだから、原産地をとやかく言っている時期ではない気がする。大雑把に岐阜を境に南と北といった分類で、細かく水系までは問題にしている時間がない。と園原さんは日本の危機的状況を憂えている。

 とにかく岩澤信夫さんのフアンで「3年間堪水で、除草しない、田んぼに入らない、米ヌカ、ミネラルだげで栽培することを守っている。収量は10a当たり8俵程度を目標としている。長野は地域的に10俵とか標準であるが、園原さんも大豆とかの野菜を栽培した後作に米を作ったら15俵採れた。でも味が悪くて食べたくなかった。写真は収穫後水田に水を張ることで生き物が生息しイトミミズが土を肥沃にする3月の水田の様子、そして水周りのメダカやホタルの生息域も残している。


不耕起栽培農家訪問記ー長野・高山村

2008-07-09 07:32:47 | 日本不耕起栽培普及会

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長野県・高山村の園原久仁彦さん訪問記

 ほたるの居る里づくり、メダカの泳ぐ田んぼ、これほど消費者を説得できるキャッチフレーズは他にない。私もこのメダカの泳ぐ不耕起田にカルチャーショックを受けてこの農法の解明に現在がある一人である。岩澤信夫さんの技術は全国どこの地方へいっても通用する普遍性のある技術だからである。国や農水省管轄の研究機関が手を付けない点でもユニークであるし、吉川英治文化賞で「目立たないが社会的貢献度が高い」と評価しているが面白い判定である。

 私の妻の実家がたまたま園原さんの高山村に近い長野市の上高田であるため2回ほど訪問した。彼は自分の息子さんが東京で生活していて30歳になるが2年間不耕起・堪水田の米を食べさせたところ、アトピーだった体質が改善され、すっかり肌がきれいになった。16、17人の農家の人も、自家産米の米を家族に送ると炊いた翌日の冷めたごはんが真っ白で臭いがないことを体験して「じいちゃんの作った米を食べたい」と生産意欲をかき立てられる。年を取って今時田んぼで草取りなんて本人はやめたい気持ちでいたのに続ける結果となっている。写真は園原さんの堪水田と彼のロマンを語るアジトに張られた園原語録

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不耕起水田と雑草との関係ー雑感

2008-07-06 19:11:01 | 日本不耕起栽培普及会

雑草雑感

 神崎ハウス脇の不耕起水田での体験だが、この3年間藤崎さんに頼んで不耕起用の田植え機で田植えをしてきたが、今年歩行用の2条植の田植え機で可能かどうかの実験をおこなっている。しかし堪水を行っていない固い不耕起状態の水田の場合10馬力以下の小型の田植え機ではどう改良しても難しいということが分かった。そこで根岸清さんは半不耕起として管理機を使って5センチ幅に深さ5センチ切り溝を入れ、その後を田植え機を使って植えていくというかたちに方針を変えた。その実験として脇の実験田の隣で実演した。オリザの生育調査圃場に田植えを行った後、スズメノテッポウを刈り払い機で除去してから急遽田植えをするという強行軍であったので、隙間だらけで不十分な結果であった。 その後、補植をしたり雑草を抜いてきたが、溝を切って半不耕起にしたことで雑草の出方に変化が生まれた。これまでは、田植え後水田に水が入ればスズメノテッポウだけで殆ど除草の必要性はなかった。

 しかし今年は違っているスズメノテッポウの他にコナギ、とイボクサであるがかなり勢力を張っている。4年目であるが、例年との違いは半不耕起と言って半分近く代をかいた状態になっていることで、土の中に含まれていた雑草が空気に触れて発芽したとしか考えられない。水を切って土に含まれる種子が空気に触れて発芽するのと同じ現象である。0872zassou1 0872zassou2


滋賀・福井訪問記(5)

2008-07-06 11:52:34 | 日本不耕起栽培普及会

 6月16日若狭町向笠の大久保一夫さんの15年不耕起栽培と言う農家を突然ではあったが保志さんに案内して頂く梅の産地で日本で最初にJASの有機認証を取得した農家であるという話も聞いた。

 米の収量は8俵、これまで海水を3トン海から運んで入れていたがオーストラリア産の岩塩をウメにも使っている関係で安く入手できるので今年から10aあたり30キロ、田植え時期に米ヌカと同時に15キロと、実肥の時期に半分の15キロを施肥する。

 昨年5月宮城県の岩渕さんが来てイトミミズの数を調査したら1000万匹を確認した。塩はイネの桿を固くする。最初の頃ボカシ肥を150キロ入れた時倒伏したので海水で入れはじめた。それで桿が固くなった。品種はみゆう(ニュー)ヒカリ(福井農試が開発中)とヒカリシンセイキ(鳥取から)で草丈が低い品種を選んでいる。

 播種量は100g(1箱当たり)、育苗期間は1ヵ月田植え機はクボタで慣らしながら田植えができるタイプを使っている。

 不耕起で草が生えないということで管理がしやすい話をしていた。梅の収穫時期と重なり昼食時の忙しい時ではあったがこころよく案内に応じてくれた。保志さんの腰の低い対応にも、地域の人を大切にするこころ息も伝わった。60歳を越える人ではあるが保志さんの近所でこれからも訪問したいと意思を伝えて別れた。Rimg0084 Rimg0081 Rimg0082