埼玉・新潟の経験は温暖化が私たちが想像する領域をこえていた。コシヒカリの収穫は関東では9月上旬だから夜温の下がる10月に収穫期をずらせば温暖化は対応できるという単純に考え、また滋賀の中村冶一さんも小学校の体験学習にイネを採用していて2学期の9月以降に開花の観察が可能な「旭」という古い品種を採用しているという話を滋賀の現場で聞いていた。また静岡の藤枝でも乳酸菌を除草に使う研究、実践をしている松下明弘さんも同じ観点で収穫期をずらすことで改良を試みられていた。
ところが埼玉の「彩の輝き」はコシヒカリより晩生であったが、予想にはんして開花時の8月下旬の10日間の高温であった。国や研究機関は遺伝子レベルでの対応を考えているようであるが狭い範囲のリスクとしてあきらめるしかないのでろうか?千葉県などの場合、この時期28度Cを推移し平年作に収まっていた。ただ個々の事例を見ると春先の低温に対する成苗を待ちきれなくて4.5葉にならない前に植えたケースでは順調にいかなかった。あるいは水田の温度が下がり過ぎない工夫も大切である。
メダカの学校小田分校10年のあゆみ
この本の後半でイネを不耕起栽培で取り組む中村冶一氏の水田を今年11月13日訪れ話を聞くことができた。小学生と水田を取り組む中で子どもたちが『田んぼの向こうに世界が見える』と彼の水田で農薬・除草材を使わないために、水田に入るだけで子どもたちが生き物のざわめきを肌で感じとることができると教えてくれた。またこれまでのコシヒカリでは収穫時期が学校のタイムスケジュールにはあわないこともあって、中村さんが独自の検証をおこない中生の品種「旭」を探り当て10月収穫が可能になった。またこの品種はコシヒカリより古く原種である。アトピーなどにも罹らない品種だそうです。収穫後へアリーベッチという豆科緑肥で雑草も抑えられるそうです。この本の最後に不耕起栽培の用語集を紹介している、10年間の生きものとのかかわりをまとめた本として貴重である。この本が欲しい方は鳥井まで連絡ください。電話090-8112-6838.