農を語る

自然にやさしい不耕起栽培

薬に頼らず「未病」を治す、渡邊昌さん(東京新聞9月28日号)の記事から玄米を考える。

2023-09-29 09:13:36 | 日本不耕起栽培普及会
典型的なメタボが原因の糖尿病だった。そこから再起して未病を克服した。食事療法でカロリーを制限し食事の量を制限しゆっくり食べ、よく噛んで食べるようにした。東京農大で教授に転身し栄養学の研究者に転身する。大豆やブロコリーの効用を研究する。健康に効果を持つ玄米をメヂカルライスに認証して国内外に普及して「未病」を治したり、病人の食事療法に用いたりする。
渡邊さんの自らの体験を通しての医療の取り組みであるが、私の場合、そんな病気を体験する余裕がなかったので常々健康を気遣い、玄米、野菜にこだわり除草剤、農薬、化学肥料を使わない農法へのこだわりで取り組んできた。
とにかく玄米食は食感が悪いので白米に走りやすい。しかし玄米にはぬか成分の中にミネラル、微量成分を含みはくまいには発揮できない力がある。除草剤や農薬、化学肥料を使わなければ微生物を殺さず、人間の腸の中をきれいに保つ。パンの場合も同じで日本人は白いパンを好むが胚芽を含むヨーロッパのパンの方が健康にいいのは当たり前である。これは生来の潔癖症からきている。戦後導入されたリービッヒの農業技術が慣行農法を維持し日本の土をだめにしてしまった。

2012年以降の日本不耕起栽培普及会での小規模な米作りを目指しての塾の紹介

2023-09-23 14:01:18 | 日本不耕起栽培普及会
藤崎水田からその後の小規模水田
塾-佐倉和田小脇、直弥、多古の桜宮自然公園t-s水田、天井田、染井ー大塚家族水田、茨城県稲敷郡金江津福田農園これらの水田を2012年から見続けてどのように管理され生き物はどのようにかわったか?
大前提は不耕起で耕さない。水はなかなか自由にはならない。岩澤さんの考えでは堪水ということであるが、池の水がうまく流れてこないとか畦の水漏れがあるとか、ポンプが故障したとか理由は様々である。それでも一応理論に従って述べる
  • 塩水選によって15と13に判別、10度cで10日間浸種する。普及会ではエンザ液での消毒をおこなう。普通の農家では温湯処理60度、10分、いもち病、馬鹿苗病、麹花などが抑制できる
  • 浸種した1箱当たりの種の重量手植えでは60~80グラム、機械植と併用する際は80~90グラム、特に機械植での場合、欠株を嫌い補植が必要となる。関東近県では3月上旬種まき、5月上旬田植え、今年は浸種で60グラムにこだわった。
  • これまで市販の培土、覆土と分けて購入していた。培土には化学肥料が使われていた。有機JASに添わせるために、現在は西出式のボカシ肥の作り方を学習して、すでに3年ほど利用している。無肥料で熱処理された覆土用の土の下に100グラム程度敷き詰めることとしている。
  • 佐倉の実験田では2月に日本赤ガエルの産卵に合わせて水田に水を入れ、乳酸菌を流し込む、水田の堪水が維持され水田の水温んが17~18度c維持されればコナギなどの雑草が発芽してくる。一旦水を落とし、それを刈り払い機で除去しレーキでしごく、今年100坪水田では堪水が遅れコナギの発芽が遅れ田植え後大変だった。
  • 水田に苗を植える時期、田植えと同時に藻類が発生する。アミミドロ、アオミドロで緑藻類なので光合成をおこないÑを固定する。関東地域では6月になればサヤミドロも発生する。慣行栽培農家はこの藻類のコントロールができないので雑草として処理をする。しかし上手に使えば光線の投下を抑え草は生えなくなる。特にコナギはサヤミドロで完全に発芽を封じられる。静岡県菊川の青島康広(生き物いっぱい菊川アカデミー)さんのところでは寒中から溝にサヤミドロが生息している。
  • 水田を耕さないことで、また堪水を基本とすることで生き物の生存の幅をひろげる。トビムシ、イトミミズ、ユスリカ、サカマキガイ,ヒラマキガイ、アメリカザリガニ、タニシ、メダカ、日本赤ガエル、トノサマガエル、シュレーゲルアオガエル、日本アマガエル、ドジョウ、カメ(クサガメ、ミドリガメ)スッポン、アメンボー、アブの幼虫、シラサギ、アオサギ、サシバ(佐倉、多古)、ウサギ、カマキリ、クモ類、カマキリ、横エビ,オオタカ(香取)ジャンボタニシ(香取)、カワニナ(多古染井)ヌマガエル

     不耕起栽培を支える4つのカナメ
  • 従来の根穴構造と土の真菌『グロマリン』
秋田短期大の佐藤照男氏がレントゲン照射により土の弾力性などを説明しマットのようにふわふわした構造を根穴構造と説明してきた。その後1996年アメリカの土壌生物学者であるサラ・ライト女史が土壌の中から「ぐろまりん」を発見、植物の根と共生する真菌が作り出すたんぱく質を発見、強い粘着性がある。根穴構造という従来の考え方を補強し、不耕起栽培を3年続けると米の味も良くなると現場のコメの味をゆるぎないものとしている。特にアメリカでは大型機械での耕うんが当たり前であったが耕すことで表土が失われ環境の悪化が深刻であった。アメリカやヨーロッパは降水量が少ないこともあって、不耕起栽培の理論が受け入れやすかったため現在半分以上が導入されている。2005年エコシステム11月号日本生態系協会で日本に紹介されたが、日本は雨が多く除草剤に対する扱いの点で問題を残し、不耕起栽培の普及が遅れている。雑草をどのように扱うかにかかっている。
(8)水の浄化システム、信州大学中本信忠元教授が提唱する戦前からの緩速ろ過方式
山の水の流水下でメロシラ(小動物)による大腸菌などの捕獲による1メートル流れると水が浄化される。平面的な場所はとるが、金をかけないで皇居などにも設置されている。水田も堪水化することで田んぼの水だけでなく河川の浄化にかかわる。岩澤信夫さんは生前印旛沼の水を何とか浄化できないかと不耕起堪水を勧め、中央博物館の中村俊彦さんと3年にわたり研究をかさねた。
(9)トビムシによるワラの分解、除草剤を使わなければ切りわらの分解も早まり藻類の活動も活発化する
一般的にトビムシは山林の落ち葉のしたに生息し生活環境の自然度の指標となり建物の屋上にトラップして匹数で地域の自然度を測るのに使われている。香取の藤崎水田で2003年当時ビニールで囲った畦周りに何億,何兆ものトビムシが集結した。またコシヒカリの刈り取り時期にたまたまミドリマイの花が咲いており。その花の香りに集まったトビムシを観察できた。7,8月に産卵するがクモも同じで翌年までトビムシを餌にして豊かな生物環境を作っている。
(9)田植え前の乳酸菌散布、藤枝の松下明弘さんがコメのとぎ汁と米ぬかから乳酸菌を抽出して牛乳を餌として増量する簡単な方法を発見、松下さんはこれにEM菌を合わせて玄米茶のくずを入手発酵させて水田に入れている。
松下さんはその際水田の均平を常に語り、堪水は水田が大井川の河川敷であるためできない。表層耕起で雑草の発生状況を観察して繰り返しおこなう。水田によっては1回で済む場合もある。少面積であれば刈り払い機とレーキで繰りかえしおこなう。
(10)光合成細菌の活用、香取の藤崎農場や佐倉の斎藤和さん等の実践で元種となる菌を自分たちで増殖する。斎藤さんからの紹介で五光という会社で吉田さんという方がコーンスターチと重曹で元種があれば増量できる。稲が開花し始めたころから稲に対する追肥感覚で投与する。光合成を行うのでNがあたえられる。

私がコメ作りを始めた動機から23年が過ぎた。終活が始まっている。

2023-09-23 13:29:59 | 日本不耕起栽培普及会
生き物と共存できるコメ作りを目指して
2023年9月8日 鳥井報恩
2001年 6月9日 香取の藤崎芳秀さんの水田を見学し、メダカが泳ぐ水田に衝撃を受ける
水田を冬期湛水と言って、稲刈り後、湛水化することで雑草が抑えられることで、除草剤に頼らないで、米ができる。日本不耕起栽培普及会の活動である。

福島要一先生の著作で、除草剤は、農業従事者の生命を救った。特に主婦50才過ぎると腰が曲がる事例を取り上げた。

現代において ホームセンターでは、入り口の目につく場所に除草剤、農薬が置かれている。 散歩道も、除草剤で草が枯れている場所が多い。兵庫県の豊岡コウノトリの里で、稲葉光國さんを呼んで 講演会を開き、農薬を使わないで米作りを行う。学校給食で、子供たちに農薬を使わない技術を使って米を作り、子供たちに食べさせる。そんな夢を語り、いすみ市長に熱く語った。

 2012年 5月4日 岩澤信夫さんは亡くなった。 その頃までの香取 藤崎芳秀さんの水田は、生き物いっぱいの水田であった。 藤崎芳秀さんは、機械化農業で、コシヒカリ 6.5 ha、酒米雪化粧 2ha を栽培する。 佐倉でも斎藤和さん 水田2ha 、ハウス、 ミニトマト 350坪とイチゴ300坪の専業農家である。 この 斎藤和さんが技術を確立しており、アメリカザリガニ、タニシ、日本アマガエルなどが生息している。

春先 、乳酸菌除草で半不耕起で浅くトラクター除草し、その後、田植えを行う。 元々の技術は、稲葉光國さんの米糠除草用ペレットの活用が普及の基礎となっている。

機械化農業の普及の基礎を作ったのが、もう1つが、温湯処理、浸種前の乾いた状態のモミを60℃ 10分間浸種することでイモチ病、バカ苗病、こうじ花等の抑制となる。
成苗2本植えのポット苗生産も現在は、ミノリの播種機と田植機が開発され、機械化稲作の基礎を作ってきたが、この技術のハシリは稲葉さんが、栃木の農業高校の教員時代に生徒と一緒になって手作りで、播種機を作り上げ、稲の苗箱に620穴×2の種子が並ぶ機械化のハシリであった。

私も、稲葉さんとは大学も東京教育大学でご一緒し、全農研でも一緒、民間稲作研究所でも、米の検査員の仕事で10年ほど協力させていただいた。
千葉・茨城近在の有機JAS農家の水田の実地検査を行った。

また、そのための事前の研修にも栃木の民間稲作研究所や農水省企画の研修会にも参加した。

こうした稲葉さんとのつながりはあったが、今思うに、私が多くの人の場に立った時、平静心で考えを伝えることができず、稲葉さんともいつのまにか関係がとぎれていった。全農研の活動も長く続けてきたが、結果的に歯車が合わなくなっている。

千葉の農業高校の教員になった時、千葉県支部の「なりる会」を作り、月に1回千葉市の公民館まで人が来ても来なくても根気よく通いつめ、会員を増やした。

現在81才となり、そんな会員としての自覚はなくなった。
今は不耕起栽培の稲と大豆の塾を佐倉で開講し、都会の人で機械を使わないで、小規模で取り組める農薬・除草剤を使わない、化学肥料も使わない技術の普及を心掛けている。また、その裏付けとなる①健康を守る食のあり方、②平和、③環境などを一緒に考える取り組みをしている。
8月24日、福島の原発処理水の放出が始まった。放出することに反対する東京新聞や赤旗の論調に対し、文化放送は朝の番組で、けしからんと大騒ぎしていた。東京新聞は24日「こちら特報部」で太平洋島諸国の怒り、「核の植民地主義だ」と報道では「トリチュウム」だけが除去できないと主張しているが、微量であっても残留することにはかわりない。昔、岩澤信夫さんが、農水省を訪れ、ネオニコチノイドの毒性について訴え、使用しないように要望した。盛んに毒性が少なくなって、作物への影響は少ないと強調していた。

それなら、1000倍でも1万倍でも水でうすめて飲んでみろとせまった。
原発の汚染水はもっと問題で、マーシャル諸島の人々が体験した経験を考えると許せないこととなる。

毎年私の所に塾生が5~6名は来る。最近は若い人が多くなったが一時、定年前後の人が多かった。 塾が終了して、やっと自立して水田作りをやるのかと思っていると、本人が脳梗塞で動けなくなることもあるし、つれあいが病気で介護が必要となることもある。米作りを勉強にきて、食事はコンビニ食では、先々が不安である。
そこで、玄米とみそ汁を基本として、昼食をふるまうこととしている。
さらに、健康法では、塩谷信夫「大健康法」で「正心調息法」という腹式呼吸法である。 60才すぎてから若返る,想念と言って自らに健康であるようにと願をかける。
また1日のうち空腹時間帯を14hrとる。 食事中は腸の活動を優先させるため、水分は少なめにする。
朝は、5時には起床し水分を十分とり、手作りジュース、甘酒、あずき、大豆の麹。 これで便の出方は良好となる。ジュースの中身はキャベツ、小松菜、リンゴ、バナナ、ニンジン、シメジ、アロエ、黒ニンニク、酵素液、すりごま、ココアなど品数が増えている。
農家レベルで、2~10ha レベルでの農家での経営は、農民連が主張する家族経営での農業を意味する。 この形態としては、藤崎芳秀さん、斎藤和さんが、該当する。 これに対し、もっと小規模で、都市型の人々が、農業とは別の仕事をやりながら半Xの立ち位置で、農業に取り組む形態、あるいは私のように定年した人々が年金をもらいながら農業労働に取り組む形態など、大きくは2つに分かれる。 後者の場合でも米を製品化するのには、機械を使う前者の農家とか、いわゆる生産組合レベルの施設を有効に活用できる仕組みが前提となる。

トラクターを使っての雑草抑草の方法(斎藤さんの実践例を紹介します)
秋、稲の収穫が終わってから、2番穂が邪魔になるので、表層耕起で浅く耕す。切り藁もすき込む。
10a当たり、ふるさと有機(ボカシ肥) とキノコの床の馬フンを入れる。
田植1ヵ月前、水田に水を入れ、光合成細菌入り乳酸菌を散布し、雑草の発芽を待つ。
表層耕起で、コナギ、ヒエ、イボクサの発芽した芽をトラクターでたたく。松下明弘さんの乳酸菌除草、元をただすと稲葉光圀さんの米ぬか除草の発想である。少規模の大きな機械を使わない私たちの方法では刈り払い機とレーキで表層は繰り返すことになる。
↓5月上旬 田植えを行う。直後アオミドロ、アミミドロが広がり雑草の発芽を抑える。冬期湛水は希望ではあるが、水をなかなか自由にコントロールできていない。