農を語る

自然にやさしい不耕起栽培

滋賀県安井塾と兵庫の訪問記

2010-04-12 10:56:21 | 日本不耕起栽培普及会

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滋賀・安井農場訪問記

(2010年3月28日)

(兵庫県多可郡・篠山への移動車中と帰りの車中での記録)

3月29日AM6:10~出発

名神高速道路、八日市インターにすぐ入る。6時17分の曇り時々小雨の天気、外気温8℃。

昨日の安井さん宅での作業、参加12名、丁度350枚の播種、縦列4枚で100mにならべる。

5反田、12年になる。

最初、大工さんをやっていたが、個人の大工から、ホーム形式にかわる時期で大工さんに見きりをつける時期でもあった。

滋賀で岩澤さんの講演会があり、耕さなくて良いという技術で、兼業でやってきて水田を耕さないということに、当時の自分としては、はまってしまった。

粘土質でミネラルを含んでいる土、MgCaを含む、おいしい米がとれる。

米ヌカ200kgを今でも入れている。

水田にはミネラルは使っていない。米ヌカがミネラルを含み何も入れてない、エンザー液も使わない。播種後直ちに水田脇の・・・

大西さん、竹内さん、多可郡多可町

3.8ha、小倉製菓、AM10:20着

いくいくは10ha、助成金があって中間法人に金を流し、農業法人をたち上げる。その予算を使って水田の整備-耕作放棄地の改善をはかってきた。今後は単独で企業として農家から直接借りることができるようになった。そのことで水田の手当は各自にまかされている。

1.7mシカよけネット

~小倉製菓1時20分まで

◎焼成骨粉を苗出しの時に使う、覆土にまぜる。

コイン精米を2台設置し、コメヌカはいつも手に入る関係で生き物を育てる観点で水田に入れている。

播種機はスズテックの成苗用疎植のものを使っている。今日は12名の塾生に対し、種まきの実地研修となった。めざまし君で催芽した種子を2日前に引き上げたものをムシロに広げ、かげ干しする所からはじめ、鳩胸状態の確認からはじめる。

次に苗箱の選択、使い古しの箱であるが播種機に通す時、同一の基準で通過させたいので、リサイクルで使用済みの箱を使うが、できるだけ同じものを集める。

箱の下に敷くシートであるが、牛屋さんが使う飼料袋が捨てられ処分にこまっているので、この飼料袋を大工さんのたくみの技で裁断をする。木枠を作り、そこに袋を重ねカッターで切っていく、5.5葉まで水田で苗を育てる過程で厚い袋の紙はイネの根の肥料となって分解していく。金をかけないことで最終処理場として自然にかえされていく。

塩水選の処理は前回の研修内容であったが、安井さんは当初稲葉さんの温湯処理60℃で洗濯機を使って挑戦したが、バカ苗の防除にならなかった。別の方法に切りかえ、充実した種子、比重値1.13(稚苗)、普及会1.15であるが、安井さんは1.17と更に重い種子を選んでいる。

その結果バカナエ苗を回避している。

できるだけ近江八幡の粘土質のミネラルを含んだ土、琵琶湖周辺の肥沃な水、土、そして米ヌカの栄養で、安全安心で美味な米が作られ、食味値も80を超す。あらためて、何もしなくても12年の実績で社会的評価も受けている。

使用している培土はヰセキの培土である。24リッター入りの小袋を10袋とか準備するが、大袋入りのまとめ買いも行う。一般的には培土と覆土を区別するが、安井さんは培土だけを使用し、覆土用は使わない。

培土も粒状になっており、覆土は浅くし発芽をそろえる。

多少種モミが外に出ていても、気にしない。

水田に直接並べ1.01.5葉からの潅水は下からの吸水方式でプール状に行う。50mと長い育苗床で320枚前後一度に準備している。

50mをわずかな傾斜をつけてはじめからポンプで流し込んでいく。床下の除草、均平を事前にていねいに行い職人感覚で完ぺきに行う。黒ビニールを下に二重に敷き、プール育苗が2.5葉からできるように外側にヌキ板を両側に立てられるようにし、工事用のわたり板を両はじに準備し、そこに鉄パイプを2列通し育苗箱を縦列に4枚並べた両はじに150cmのトンネル用のパイプを60cm感覚に土にさし込む、そのパイプの上に薄手のビニールで150cm巾のものを設置し、パイプとパイプの間を誘引用のヒモでくくり、てつぱいぷにまきつける。

育苗時の肥料については、硫安を潅水がわりにしたから散布する。播種後25~28日の頃の葉色を見ながら早めに散布、播種量は70gで行う。全体の施肥量と言っても米ヌカだけの施肥であるから1箱当たり10gとしても全体で3kg、1ha分であるから微々たるもので有機にこだわってカビを発生させるより、割りきった考えが大切である。

過去には普及会でのミミズのフンを使ったこともあるが成功しなかった。

最近、米の価格について変化が生まれている。安井さん自身に対する評価が高まり、これまでは夫婦2人で食っていかれれば良いということで欲を出さず障害者施設に無料で出したりしていたが、息子さんが後継者として少しずつ父親の仕事を憶えたり、田植機の修理も自力でできるようになり、バトンタッチもありと考えると、安全安心で美味となり、普及会としての価格設定が安すぎると言うことに気づいた。息子が安心して生活を成りたたせるためには、当面の課題である。

前事務局長の発案ではじまった琵琶湖自然耕塾ではあるが、安井さん一人では荷が重すぎるので、こうして鳥井、今井さん等が来てくれればたすかるし、会報だけのつながりではない人間的な連携が意味がある。

また、同じ滋賀地域でNさんの塾もあるが、本物かにせものかで地域の評判を落としており、同じ岩澤塾の信用を落としかねないので善処が必要ではないか。次の世代に技術を受け継いでいくためには企業秘密をおしげなく公開することになるが、たくみの技術にとどめておかないで、同志を育てることに楽しみをみいだしつつ苦労をともにしている感じであった。

一連の作業を家族だけで止めておけば比較的に楽に終わるかもしれないが、今、安井さんは仲間を育てるという新たな課題に歩み始めている。

12年という時間の流れを経過して花開いた生き物一杯の不耕起湛水田の到達点である。

大西さん

小倉製菓の水田部門として大西さんが中心に企業内でセンベイの原料を供給していきたい、農業法人に限られた参入が企業として耕作放棄地10haを目標に借り集め、不耕起湛水で安全安心の米を作っていきたい。

放棄地周辺はイノシシとシカの被害地である。

ただ一つの企業が工業的感覚で省力化のために準備したコンクリート張りの3つのプールには、さすがの私もおどろいた。

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