農を語る

自然にやさしい不耕起栽培

カメムシの被害の比較

2014-01-30 11:13:33 | 日本不耕起栽培普及会

岐阜県多治見のツヅ原えいのうの山田さんからのホットな情報を紹介します。山田さんの営農組合では慣行栽培と不耕起・冬期湛水無農薬栽培の両方を管理、名古屋のアル大學の学生が昨年4回(6月から8月)ほどカメムシを網で捕獲調査を行ない、いづれも慣行水田の方が農薬を散布するが4回とも多かったと報告している。空散は7月30日と8月20日で1回の調査は8月の1日の散布後2日目であったがそれでもカメムシの個体数は不耕起水田の方が少なかった。農薬を散布した慣行田から散布しない隣の不耕起水田に移動するかとおもったが、移動もせず、数も減っているという結果であった。8月22日の調査ではいづれの区でもカメムシの数は20日の農薬散布にもかかわらず数が増えていた。水田から水田への昆虫の移動はそれほど認められないということである。不耕起水田の方が何故カメムシがいつも少なくなるか女子学生から問われた。

ただ山田さんは9月イネを刈り取ったあとのひこばえの所でつゆが溜まって白くヒカリ輝き美しい状態であった。その白い物体は無数のクモの糸であった。ひょっとしたらこの光り輝くクモたちがカメムシを捕獲しているのではないかと、調査に参加した女子学生に答えた。


トビムシは稲わらを分解、藻類に替える

2014-01-25 08:39:54 | 日本不耕起栽培普及会

虫見版による観察で8月中旬頃から稲株周辺で観察できるが宇根豊さんは{ただの虫}で終わらせている。これはトビムシが果たしている役割についてきずいていないのだと思う。森林の林床の落ち葉の堆積した中に白く生息するトビムシは水田似生息するトビムシより小型な物が多く0.5から0.1ミリ台であり微生物菌の菌糸をえさとして生活している。このトビムシは風に乗って移動しビルの屋上でもトラップができ住環境の自然度の点検を可能としている。

水田に生息するトビムシは比較的大型なものである。土壌動物の専門家に聞いた話だが水田でのトビムシの研究はほとんどされていない。宇根さんもただの虫と言ってトビ虫の役割を問題にしていない。収穫前後から出現する稲株や切りわらを食害し固いワラを軟らかく分解し腐らせる役割を果たしている。次の段階は藻類へと形を変えていく。慣行栽培ではトラクターにかけて土にすきこんでしまうが冬期湛水不耕起栽培では水中分解で翌年の田植え時期まで半年あるのでその間に千葉では藻類へと移行していく昨年の26号台風ではワラが風で片側に寄せあつめられたりするので,未分解のまま集積することになり不耕起の環境が壊されてしまう、場合により水田の均平が必要となる。藤崎水田ではアカウキクサがそっくり大水で流されてしまった。たた再生されるかは浮き草のことであるからわからない。


トビムシのこと

2014-01-24 09:09:51 | 日本不耕起栽培普及会

2004年の秋のこと、岩澤信夫さんから電話があった。藤崎さんの水田でこれまで見たことも無い映像があるので写真に収めておいて欲しいという電話であった。翌日いくと水田の畦シートの脇に何万何億の小動物ー0.5ミリ程度のトビムシが風に押されて稲株から畦に向かって寄せられ数が多いので何層にも重なりあって集まっていた。トビムシは福岡の当時改良普及員だった宇根豊さんが{ただのムシ}と表現し、彼が開発した虫見版を使うことで収穫前の稲株周辺で簡単に捕獲し観察が可能である。農薬を使ったり、トラクターでの耕作を繰り返すと、虫の生息が困難となる。藤崎水田では2010年ころまでは排水路周辺の溝に水田から流れ落ちる水に乗って落ちその水路で簡単に観察が可能であった。農薬を使わない、土を動かさない岩澤さんの言う不耕起栽培に徹する農法であれば簡単に観察が可能となる。(続く)